セルフレジ万引きにスーパー苦慮、被害500万円でも認知は数十万円
セルフレジ万引きにスーパー苦慮、被害500万円でも認知は数十万円

スーパーマーケットが「セルフレジ」の利用者による万引きに頭を悩ませている。買い物客が商品のバーコードを読み取らせて精算するセルフレジは、人手不足対策や人件費削減への期待などから普及が進む。一方で、人目が行き届かない状況につけ込む悪質な万引きが後を絶たない。故意の万引きと精算ミスの見分けにくさもあり、店側は対策に追われている。

田子重登呂田店の被害実態

6月下旬、スーパー「田子重」の登呂田店(静岡県焼津市)で、女性従業員がセルフレジの利用者に「困りごとはありませんか?」と声をかけていた。同店は、人件費削減などを目的に2023年秋にセルフレジを導入。レジの混雑は解消されたが、万引き被害が急増した。格安商品のバーコードを高額商品のものに重ねて読み取らせたり、バーコードを手で隠して精算したように装ったりする手口が目立った。

2024年度に同店で発生した万引きによる被害額は推定で約500万円に上った。そのうち、万引きと認知できたのは21件(数十万円分)だけだった。店長(35)は「故意犯と精算ミスの違いが分かりづらく、認知できていない犯行も多い」と指摘。「防犯カメラや会計時の監視モニターにうまく映らず(検挙に)つなげられないことがある」と頭を抱える。

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対策と効果

同店は2025年度から、セルフレジの利用者の手元を映し出すモニターを設置。従業員も新たに配置し、セルフレジの利用者に積極的に声をかけるようにした。その結果、2025年度の万引き被害の認知件数は5件程度に減っており、一定の効果があったとみられる。

全国的なセルフレジ普及と万引き動向

全国スーパーマーケット協会によると、大手を中心に2003年に導入が始まったセルフレジの設置率(2025年)は約4割、店員が商品をレジに通し、客が精算する「セミセルフレジ」も合わせると8割近くとなっている。人手不足に加え、新型コロナウイルスの影響で店員と客の接触を減らす傾向が普及を後押ししたとみられる。NPO法人「全国万引犯罪防止機構」の担当者は「セルフレジを導入した後に万引き被害が増えたケースが目立つ」と懸念する。

静岡県での研修会と警察の取り組み

6月中旬、静岡県内小売業者らの防犯責任者を対象とした万引き対策の研修会が静岡県庁で開かれた。静岡県警生活安全企画課の坂田幸隆課長は「セルフレジを狙って商品を重ねてスキャンしたり、バーコードを指で隠したりする手口がある」と指摘。「工業会 日本万引防止システム協会」の稲本義範会長は「AIを活用した最新の対策もあるが、来店客への積極的な声かけも効果的だ」と呼びかけた。

静岡県警によると、1~5月の静岡県内の万引き認知件数(暫定値)は1107件(前年同期比144件減)。2025年の年間認知件数は2875件(前年比206件増)だった。1600人以上が摘発され、うち約4割が高齢者だった。

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