古武道「貫心流」完全復活へ 居合術宗家・重吉さんが挑む
古武道「貫心流」完全復活へ 居合術宗家・重吉さん

源義経(1159~1189年)が伝えたとされる古武道の流派・貫心流の「完全復活」に、貫心流居合術の宗家・重吉伸一さん(68)(松江市)が取り組んでいる。貫心流は主に六つの武術で構成されるが、現代に継承されているのは居合術を含む二つにとどまる。重吉さんは、古い資料や映像を参考に途絶えた武術の再興を目指しており、「主な武術がそろった完全な貫心流を後世に残したい」と意気込む。

貫心流の起源と構成

貫心流の起源は、平安時代末期、源義経が鞍馬山(京都市)で、修道士・鬼一法眼から学んだ刀術に遡るとされる。刀をさやに納めている状態から素早く抜いて攻防する「居合術」のほか、剣術、柔術、杖術、鎖鎌、なぎなたなどがある。

重吉さんによると、かつてはそれぞれの武術に最高権威にあたる「宗家」が存在したが、現在は重吉さんの居合術と、兵庫県姫路市の男性の剣術しか継承されていない。

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重吉さんの歩み

重吉さんは14歳の時に空手道を始め、島根県代表として1982年の国民体育大会「くにびき国体」で団体優勝を果たすなど活躍した。特別支援学校の教諭だった42歳の時、大病を患ったのが一つのきっかけとなり、「新たな武術を身につけ、心身を鍛え直したい」と松江市にある貫心流居合術の道場に入門。教諭を退職した後も続けた。

「受け流し」の特徴と再興への決意

重吉さんによると、貫心流の特徴は、相手の攻撃を流しながら返す「受け流し」の所作にあり、急所を的確に狙う型が多い。「強さと優しさを合わせ持つ侍が残した貫心流は、現代の私たちに清く正しく生きるための作法を教えてくれる」と語る。

それだけに、貫心流の居合術、剣術以外の武術が現代に伝承されず、宗家が途絶えた現状を残念に思っていた。今年5月に居合術の宗家を継いだのを機に、途絶えた武術を再興するため、関連する古文書や昭和期に撮影された動画を集めた。現在は居合術の門下生と一緒に古文書や動画を基に研究を進め、「失われた武術」の再現を目指している。

島根には、義経の忠臣「武蔵坊弁慶」が生まれ育った地として数々の伝説が残る。重吉さんは「だからこそ、義経ゆかりの古武道を島根で再興する価値は大きい。より多くの人に貫心流の魅力を伝えたい」と決意を語った。

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