元大阪地検特捜部検事の田渕大輔被告(54)の第2回公判が15日午後2時すぎ、大阪地裁で始まった。田渕被告は、2019年12月8~9日、大阪拘置所の取調室で、業務上横領容疑で逮捕された不動産会社「プレサンスコーポレーション(当時)」の元部長の男性に対し、「検察なめんな」などと大声で叱責し、机をたたくなどの行為をしたとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われている。この裁判は、裁判所の「付審判決定」により刑事裁判にかけられた異例のケースだ。
取り調べ映像の上映と新たな証拠
この日の法廷では、田渕被告が「検察なめんな」などと発言した12月8、9日の取り調べ映像が上映された。さらに、起訴内容には含まれていない同月6、7日の取り調べ映像も上映される見通しだ。検察官役の指定弁護士によると、田渕被告は6日の取り調べで、「被疑者・被告人の主張に耳を傾ける」などとする「検察の理念」を引用したという。その上で、「(取り調べを)録音・録画しているんですよ。過ち犯したりしないように、私の監視です。でも、気にしていない。私、間違っていると思わないから」などと述べたとされる。
「検察なめんな」発言時の映像は、別の民事裁判の法廷で上映されたことがあるが、それより前の取り調べ映像が法廷で上映されるのは初めて。弁護側は、起訴内容に含まれない取り調べ映像を法廷で取り調べると「裁判所に不当な予断と偏見を与える」として異議を申し立てたが、裁判所は証拠採用を決めた。
被告の無罪主張と争点
田渕被告は今月10日の初公判で、「取り調べは職務に基づくもので、罪は成立しません」と無罪を主張した。弁護側は、被告の行為は適法な職務行為の範囲内であり、特別公務員暴行陵虐罪には当たらないと主張している。一方、指定弁護士側は、被告の暴言や机をたたく行為が、被疑者の人格を侮辱し、身体的・精神的苦痛を与えるものであり、職務の範囲を逸脱していると訴えている。
この裁判は、検察官の取り調べ手法が刑事責任を問われる極めて異例のケースとして注目を集めている。今後の公判では、取り調べ映像の詳細な分析や、証人尋問などを通じて、被告の行為が職務権限の範囲内かどうかが争われる見通しだ。



