ダム湖に沈んだ幻の集落、発電所景気で沸いた60数戸の実態
ダム湖に沈んだ幻の集落、発電所景気で沸いた60数戸の実態

レンガ造りの曽木発電所と共に、ダム湖に沈んだ「幻の集落」がある。鹿児島県伊佐市にあった下ノ木場集落だ。かつては発電所景気に沸き、60数戸の民家が立ち並んでいたという。

発電所建設で活気を取り戻した集落

下ノ木場集落は、発電所ができる前から存在していた。「木場」の地名が示すように、古くは藩の年貢米を集めて保管するための大きな倉庫(藩倉)があり、ここから年貢米を船で運んでいた。藩倉の役人や船頭、商売人でにぎわった歴史がある。

藩倉ができた際、船で米を運ぶ船頭が地元にいなかったため、球磨川の優秀な船頭がこの地に移り住み、5~6軒の家ができたという。

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しかし、廃藩置県の2年後には藩倉がなくなり、人や物の流れが減り、集落は衰退。その後、今度は発電所が建設されることになる。

全国から集まった技術者と社宅

発電所の隣には会社の社宅や倉庫、事務所が設けられ、社宅は13戸あったとの証言が残っている。全国からやってきた技術者や社員たちがここで暮らした。そこから少し進んだ場所には、発電所建設前から暮らしてきた人々の民家や商店があった。

下ノ木場集落は川沿いの奥地にあり、陸路でのアクセスは困難だったとみられる。その山奥に技術者や作業員が集まり、発電所が建設されると、集落は再び活況を見せた。発電所の電力で集落にも電気がいち早く届き、当時のこの地域で一番だったという。

現在も夏に水位が下がると、船着き場の石積み跡が現れる。集落の跡地も秋から冬にかけて水位が上がるとダム湖に沈む。

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