関係のよくない親を看取るということ 緩和ケア医が説く介護と相続トラブルの真実
関係のよくない親を看取るということ 緩和ケア医の助言

親の入院や介護をきっかけに、きょうだい間でトラブルが生じるケースは少なくない。訪問診療・緩和ケアを専門とする医師の岡山容子氏は、「親の介護は親のお金で行うのが大前提」と強調する。後悔しない親の看取りとはどのようなものか。ライターの市岡ひかり氏が話を聞いた。

親の病気で発生する「きょうだいトラブル」

親の介護や看病は、時にきょうだい間の絆を引き裂くリスクをはらんでいる。本人の意思にかかわらず世話を引き受けた人の時間的、金銭的、精神的な負担は大きく、介護離職に至るケースも後を絶たない。一方、親と距離を置いてきた兄弟は、突然変わり果てた親の姿に大きなショックを受けがちだ。「なぜもっと早く教えてくれなかったのか」「もっとできたことがあったのではないか」といった思いが募る。

きょうだい間のしこりは親が亡くなった後も残り続け、介護を負担した分を相続で取り戻そうとして、遺産相続でもめるという最悪のシナリオが現実になることも多い。実は筆者も、実家と長らく疎遠になっているきょうだいに、認知症が悪化して精神科に入院させた母の現状を伝えられずにいる一人だ。数年前にアプローチを試みたものの、その後は連絡が途絶えてしまった。「なぜ私だけがすべてを背負わなければならないのか」という不公平感が募る一方、親と距離を置いた彼らの気分を害して余計なトラブルになりたくないという思いもある。

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しかし、『毒親を在宅で見送った緩和ケア医が伝える 関係のよくない親を看取るということ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で、京都府で訪問医として多くの患者の看取りやその家族に向き合ってきた岡山容子氏は、「不要なきょうだい間トラブルを防ぐためにも、一応現状を伝えておいた方がいい」と助言する。

「お前のせいで親が死んだんだ」

岡山氏は、介護をめぐるきょうだいトラブルの典型例として、遠方に住む兄弟が「なぜもっと早く知らせなかった」と非難するケースを挙げる。特に、親の容体が急変した際に、日常的に介護を担っていたきょうだいが責められることが多い。また、「カリフォルニアから来た娘症候群」と呼ばれる現象も紹介。これは、遠方に住む子どもが久しぶりに帰省し、親の状態にショックを受けて、普段介護しているきょうだいを批判するというものだ。

看取りは結果ではなくプロセスが大事

岡山氏は、看取りにおいて重要なのは結果ではなくプロセスだと説く。「親の死に目に会えるかどうか」という考え方は、子どもへの呪縛になりかねない。大切なのは、どのように最期を迎えさせたいかという家族の思いと、本人の希望を尊重することだ。

介護や手伝いの対価は親からもらっていい

岡山氏は、「介護は無償で行うべき」という考え方に警鐘を鳴らす。介護には時間と労力がかかるため、親の資産から適切な対価を受け取ることは当然だという。そうすることで、介護を担うきょうだいの不公平感が軽減され、遺産相続トラブルを防ぐことにもつながる。

親にできる最後の親孝行とは

最後の親孝行とは、親の希望を尊重し、穏やかな最期を迎えられるようにサポートすることだと岡山氏は語る。たとえ関係がよくない親であっても、看取りのプロセスを通じて、子ども自身が後悔のない選択をすることが重要である。

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