名古屋出入国在留管理局で2021年3月に亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を巡る国賠訴訟が22日に結審した。名古屋地裁を訪れたウィシュマさんの妹ポールニマさん(32)に、麻布に描かれた一枚の絵が支援者らから手渡された。ウィシュマさんと母親、妹2人が抱きしめ合う姿が描かれている。
絵の詳細と制作背景
絵は縦160センチ、横55センチ。青色の服を着たウィシュマさんを中心に家族が顔を寄せ合い、ほほえむ姿が表現されている。生前からウィシュマさんを支援していた真野明美さん(72)=愛知県津島市=が「ウィシュマさんを家族の元に帰してあげたい」という思いで、愛知県田原市の画家、小林憲明さん(52)に制作を依頼した。小林さんが生前の家族写真などからイメージを膨らませ、2年かけて描き上げたという。
裁判の後、真野さんと小林さんから絵を受け取ったポールニマさんは通訳を介して「すてきな絵をありがとうございます。母がとても喜ぶと思います」と話した。
「ダキシメルオモイ」シリーズ
小林さんは11年の東日本大震災後、家族らが抱きしめ合う絵を「ダキシメルオモイ」と題して描き続けている。ウィシュマさん家族を描いた作品もその一つだ。大切な人を思う気持ちで、誰しもがつながれるという思いがこめられている。これまでに355組の絵を完成させた。1千組を目標としているという。
この日は小林さんも裁判を傍聴した。「喜んでもらえてうれしい。絵があることで少しでも前を向くことができれば」と話した。訴訟の判決は12月11日に予定されている。



