オール沖縄後の知事選、沖縄社会の新たな分断と向き合う野添文彬教授の危機感
オール沖縄後の知事選、野添教授が語る新たな分断

沖縄県知事選が近づく中、沖縄国際大の野添文彬教授は、オール沖縄勢力の衰退後に沖縄社会で深まる新たな分断の危うさを指摘する。台湾有事が喧伝される今、選挙の結果は沖縄社会にとっても日本全体にとっても小さくないという。

知事選の歴史とオール沖縄の登場

沖縄県知事は1972年の復帰後、8人が務めてきた。野添教授は「その仕事は、いまに至るまで、米軍基地と経済振興の二つが大きな柱です。保守側は、経済や生活を重視する。革新側は、平和や人権を重視する。およそ10年ごとに、ふりこのように入れ替わってきました」と語る。

2014年に登場した翁長雄志氏は、保革をまたいで辺野古移設への反対でまとまろうとするオール沖縄を掲げた。その背景について野添教授は「日本政治の変化です。かつての自民党の橋本政権や小渕政権は、沖縄の歴史に理解があった。だから沖縄側も、基地問題で妥協ができました。しかし政権交代した民主党は基地政策を変えず、その後の自民・安倍政権は、強硬に辺野古移設を進めてくる。沖縄は対決するしかありませんでした」と説明する。

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オール沖縄の分裂と深まる分断

翁長氏にとって誤算だったのは「安倍政権が強すぎたということです。また中国が台頭し、日中の対立が激化します。オール沖縄は分裂し、いまは辺野古移設反対を貫くか、政府に迎合するかで、沖縄社会は分断が深まっています」と野添教授は指摘する。

かつての保革対立には双方に重なる部分があったが、今は違うという。「かつては保革対立といっても、双方に重なる部分があった。沖縄戦や復帰前の米軍統治下での体験です。しかし、そうした基盤を持たない政治家が出てきた」と述べる。

知事だった西銘順治氏は「沖縄の心はと問われて『ヤマトンチュー(本土の人)になりたくて、なりきれない心』と答えた」。一方、いま自民県連会長で息子の恒三郎氏は「『おやじが語ったような微妙な心理は自分にはない』と言います」という。

今回の知事選の意味

野添教授は、これまでの沖縄県知事は保守であれ革新であれ、沖縄を背負ったような人たちだったと振り返る。「戦争や差別といった個人の体験が、沖縄の戦後史と重なる。今回もそうした系譜が続くのか。国益と県民益がぶつかった時にどちらの側に立つのか。分岐点かもしれません」と語る。

辺野古への移設が現実に進んでいる以上、選挙の意味はかつてと異なるようにも思えるが、野添教授は自身の専門分野からこの問題について語り続けている。

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