阿岐本が言った。「お話があるということで、参りました」
思ったとおり杉本社長の表情は厳しい。おもむろに口を開く。
「ヒデから聞いた話だが、あんたら、石岡社長のことを嗅ぎ回っているらしいな」
阿岐本がこたえた。「別に嗅ぎ回っているつもりはありません」
実は、稔や真吉が調べているので、「嗅ぎ回っている」と言われても仕方がないのだが……。日村はそんなことを思いながら、黙っていた。
杉本社長の警告
杉本社長の言葉が続く。「石岡社長はな、古くからのお得意さんなんだ。妙なまねをすると、ただじゃ済まねえぞ」
阿岐本を相手に啖呵を切るとはいい度胸だと、日村は思った。
「それは失礼しました。ですが、私は何も石岡社長のことをどうこうしようなんざ、思ってもいません」
真の目的
「じゃあ、何でヒデに石岡社長の自宅のことを訊いたんだ?」
「私どもが知りたいのは石岡社長のことではなく、息子さんのことなんです」
「息子さん……」
しばらく間があった。「なんで、息子のことを……」



