NHKは5日、職員が番組出演者から性加害を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したが、その後の職員の訴えに適切に応じなかった事案があったと発表した。人事局の担当者ら5人が厳重注意を受け、この日記者会見した山名啓雄メディア総局長は、組織の機能不全などについて陳謝した。
事案の経緯
発表によると、職員は番組出演者らとの懇親会の後、出演者による性被害に遭い、欠勤・休職となった。1年数か月後に職場に被害申告し、所属部局への復職では被害当夜のことがフラッシュバックするなどとして、別の職場へ復職できるよう特段の配慮を希望した。
これを受けて人事局担当者らが協議したが、現所属での復職が原則だとして元の職場に戻した。主治医や産業医からの異動提案も受け入れなかった。その後も職員は異動を希望し、被害から3年余りたって、希望部署に異動した。職員は「性被害の影響によるPTSD」と診断されている。
申し入れと調査
職員は昨年4月、所属部局以外での復職等の希望が聞き入れられなかった理由を確認したいと労働組合を通じてNHKに申し入れた。昨年1月以降、元タレントの中居正広氏による女性への性加害に端を発したフジテレビの一連の問題が大きく報じられていたが、申し入れ時点までにリスク担当部局に相談した者はなく、会長ら役員にリスク事案として報告が上がっていなかった。
申し入れを受けて、昨年5月に外部専門家らで構成する調査検討委員会が発足し、調査を続けてきた。その結果、復職場所に関して前例踏襲の対応に終始したことや、担当理事らにも報告されなかった点が問題視された。出演者は「飲酒していたため記憶にない。もしそうした事実があったのであれば申し訳ないことをしてしまった」とNHK側に説明。現在、番組は終了している。
総局長の陳謝
山名総局長は「業務に関連して職員が性被害を受けたことが痛恨の出来事。その後の対応によって、職員にさらなる負担を与え、復職まで時間を要するなどキャリアに大きな影響を与えたことを重く受け止めている。職員には改めて深くおわび申しあげます。調査検討委からいただいた提言を真摯に受け止めなければならない」などと述べた。



