チェコからドイツに送還されたネオナチ活動家が、東部ケムニッツの女性刑務所に移送された。この活動家は判決後に法的性別を男性から女性に変更し、物議を醸している。
活動家の経緯と性別変更
マルラスベンヤ・リービヒ受刑者(55)は、民衆扇動罪などで2023年に禁錮1年6月の実刑判決を受けた。2024年、ドイツで施行された「自己決定法」を利用し、法的性別を男性から女性に変更。名前もスベン・リービヒから改名した。この法律は、トランスジェンダーが自己申告により法的性別や名前を変更できる制度である。
リービヒ受刑者は女性刑務所に収監されることが決まったが、2024年8月の出頭期日までに出頭せず逃亡。欧州逮捕状に基づき、2025年4月にチェコ西部で逮捕された。チェコの裁判所に身柄引き渡し阻止を訴えたが却下され、7月15日にドイツへ送還された。
自己決定法への批判と政府の対応
リービヒ受刑者の性別変更は、2024年11月に当時のオラフ・ショルツ首相率いる中道左派政権下で施行された「自己決定法」を嘲笑する意図があったと広く見なされている。この事件を受け、現在のフリードリヒ・メルツ首相率いる中道右派政権は、昨年の発足後に同法の見直しを行うと表明した。
リービヒ受刑者の背景
リービヒ受刑者は数十年にわたりドイツ東部の右翼過激派界隈で名を知られた人物で、現在は活動を禁止されている団体「ブルート・ウント・エーレ(血と名誉)」に所属していた。この団体の名称はヒトラーユーゲントのスローガンに由来する。
また、リービヒ受刑者は2022年、ハレで開催されたLGBTQプライドパレードを妨害し、参加者を「社会の寄生虫」と呼んだ行為で知られている。
今後の影響
この事例は、自己決定法の運用における抜け穴を露呈させたとして、ドイツ国内外で議論を呼んでいる。政府の法改正の行方と、リービヒ受刑者の収監状況が注目される。



