熊本地震の発生から1カ月がたった。被災者はつらく不自由な生活を続けており、支援に全力を挙げる必要がある。多くの命が失われ、被害家屋は5万棟を超えた。井戸が復旧していない世帯もある。政府は被災者の早期の生活再建と自治体の支援に万全を期してほしい。
長期化する避難生活と災害関連死のリスク
避難生活が長期化すると災害関連死のリスクが高まる。10年前の熊本地震では死者の8割が関連死だった。避難所の環境改善と健康管理が一層重要だ。
猛暑下の避難と新たな防災課題
今回の震災では、防災対策に生かすべき新たな課題が浮かび上がった。これほどの猛暑下で大地震に見舞われ、車中で避難していた人が熱中症の疑いで亡くなった。最高気温が40度以上の酷暑日もあり、危険な暑さの中で避難と復旧が続いている。
地震防災は火災が起きやすい冬の対策が重視されてきた。地球温暖化で熱中症の増加が予想される中、今後は猛暑を前提にした避難所の運営やエアコンの整備が求められよう。
商業施設の爆発事故と教訓
大型商業施設「イオンモール熊本」の爆発事故では従業員の安全確保で重大な問題点があった。屋外への避難後は二次災害を防ぐため館内に戻らないルールだったが、テナント会社から戻るよう指示されたり、貴重品を取りに戻ったりした人が爆発に巻き込まれ死亡した。
イオンは当初、館内に戻る許可は出していないと説明したが、現場の判断で認めたケースがあったと謝罪した。避難後の私物回収などに関する具体的な対応をマニュアルで想定していなかったという。類似の事態は各地の商業施設や公共施設、一般のオフィスビルでも起こり得る。悲劇を繰り返さないため原因を究明し、対策を共有しなければならない。LPガスの可能性が高い爆発原因も調査が急がれる。
断層評価の検証と今後の警戒
今回の地震は前回の熊本地震で活動した日奈久(ひなぐ)断層帯の割れ残りが動いた。政府は断層の一部について国内の活断層で地震発生確率が最も高いSランクと評価していたが、防災にどう役立ったのか検証すべきだ。
断層の割れ残りはまだある。大地震への警戒が引き続き必要だ。Sランクの活断層は全国各地にある。その近辺では重要施設の建設を避け、住宅の耐震化を進めねばならない。



