広島大練習船「豊潮丸」、クラウドファンディングで約900万円集まる
広島大練習船「豊潮丸」、CFで900万円集まる

広島大学の練習船「豊潮丸」が、燃料費高騰による運航危機を乗り越えるため実施したクラウドファンディングで、目標を大幅に上回る約900万円の寄付が集まった。寄付金は体験航海の費用にも充てられ、来年度は長期の調査航海も増やす方針だ。

燃料費高騰で運航危機

豊潮丸は、瀬戸内海を中心に水質調査などを行う生物生産学部の練習船。現在の船は2006年に就役した4代目で、初代から計70年以上にわたり教育航海や海洋調査を続け、多くのデータを蓄積してきた。

しかし、米国のイランへの攻撃に伴い、今年4月以降に燃料費が急騰。運航経費が膨らみ、現在の予算では十分な調査ができなくなる恐れが出た。近年の物価上昇を受けて遠洋航海を避けるなどのコスト削減策を取っていたが、想定を超える高騰だった。

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地域の支援で乗り切る

危機を脱するため、同学部の小池一彦教授が発起人となり、クラウドファンディングを実施。教授陣からは「国に補助金の拡充を求めるのが正攻法では」との意見もあったが、小池教授は「瀬戸内海の研究は、多くの人の理解を得ながら行った方がいい」と、クラウドファンディングにこだわった。

豊潮丸の研究は、漁業者やカキ養殖業者からの相談にも応じており、シラスの漁獲量減少やカキの大量死など、瀬戸内海の環境変化に対応するため、プランクトンの定点観測も続けている。こうした研究を止めないためにも、地域全体で船を支えたいという思いが、寄付を募るホームページに明記された。

5月下旬に受け付けが始まると、約1週間で目標の400万円を突破。最終的に318人から約900万円の寄付が集まった。寄付者には、かつて体験航海に参加した人もおり、「頑張って」と激励の言葉とともに寄付があったという。

今後の展望

集まった寄付金は、体験航海の費用にも充てる。来年度には、長期の調査航海も増やす考えだ。小池教授は「今回の危機をきっかけに、地域のみなさんに豊潮丸の実績と調査内容を知ってもらうとともに、『研究を止めるな』という熱い思いを受け取った。これからも豊潮丸を使った研究成果を地域社会に還元していきたい」と語った。

4代目の豊潮丸は、全長約50メートル、総トン数256トン。乗船定員は乗組員を含めて約40人。呉市宝町の広島大練習船基地を母港とし、航海時には1時間で3000リットルの燃料が必要だという。

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