保険金詐欺グループが4道県で起こした連続放火・詐欺事件で、非現住建造物等放火や詐欺罪などで起訴された元保険調査員、深町優将被告(55)の公判が20日、岡山地裁で始まる。
「エース」と呼ばれた調査員が被告に
被告は大手保険調査会社で「エース」と呼ばれるほど火災調査に精通。本来は保険金詐欺を見抜く側のはずだった。業界の信頼が揺らぐ中、法廷で何を語るのか注目される。
起訴状によると共謀し、令和4~5年、岐阜、北海道、岡山、青森の4道県で古民家や空きビルに放火。原因不明の出火を装い保険金など計約1億2800万円をだまし取ったとされる。
グループの役割と手口
グループの指示役とみられる稲葉寛被告(58)は審理が分離され、公判日程は未定。岡山、青森の事件で詐欺と詐欺未遂罪に問われた男(28)はすでに執行猶予付きの有罪判決が言い渡され、確定している。
複数の事件では、安価で購入した古民家に、購入額の数十倍に上る多額の火災共済金や保険金が掛けられていた。古い建物の場合、時価ではなく実際にかかる建て替え費用で算出する火災保険の計算方式があり、こうした専門知識が悪用されたとみられる。
動機と業界への影響
深町被告は約15年前に、大手損害保険会社の共同出資で設立された保険調査業界最大手「損害保険リサーチ」(東京)に入社。火災調査を主に担当し、指導する立場でもあったが、令和5年春に独立。起訴された4件のうち2件は損保リに在籍中に起きている。
動機の一端となりえるのが経済状況。業界関係者によると、独立後もエースならではの人脈を生かし、大手損保から委託調査を受注。一方で、損保リの社員だったころから金銭的に困窮し、借金を抱えていたとの情報もあるという。
深町被告を知る現役調査員は「保険調査業界の信頼を揺るがす前代未聞の事件。『エース』と呼ばれた人がなぜ被告となったのか。多くの調査員が真相を知りたいと思っている」と語った。



