全国の受刑者の「約4人に1人が外国人」であるかのような言説がSNSで広がっている。だが、実際は約14人に1人。小野田紀美・外国人政策担当相が7月下旬に府中刑務所(東京都府中市)を視察した際の感想として述べた数字が独り歩きしている形だ。
SNSで拡散、排外主義的な投稿も
X(旧ツイッター)に7月下旬、「割と衝撃w」というコメントとともに小野田大臣の会見動画が投稿された。動画では、小野田大臣が視察の感想として「受刑者の約4人に1人が外国人」だったと言い、「外国人犯罪への厳格な対応の必要性を再認識した」などと話している。
この投稿をきっかけに、SNS上では「外国人移民の中に多くの犯罪者が紛れてるってことやん!」「本当に多文化共生社会は正しい選択なのか、再考を」といった排外主義的なリポスト(再投稿)へとつながった。投稿は8月10日時点で430万回近く表示され、リポストは1万件に達した。
小野田大臣「実態の数字、そのままのもの」
こうしたSNSでの拡散について、小野田大臣は4日の会見で、自身の発言は「府中刑務所の実態の数字を挙げた、そのままのもの」と説明した上で、「タイトルだけや、『小野田がこう言った』だけを見て、反応される方が多いのは非常に残念」とした。
最新の矯正統計年報によると、2025年末時点の全国の受刑者数計3万4374人のうち外国人は2376人で、約14人に1人の計算だ。一方、小野田大臣が視察した府中刑務所は受刑者1727人のうち外国人は415人で、確かに「約4人に1人」という発言の通りだ。
なぜ府中刑務所は外国人の割合が高いのか
法務省によると、府中刑務所の定員は国内最大規模の2668人で、日本語での読み書きや会話が困難な受刑者に対応する国際対策室がある、数少ない刑務所の一つだ。府中刑務所に国際対策室が設置されたのは1995年。英語、中国語、ベトナム語、スペイン語に対応できる常勤の国際専門官がいるほか、これ以外の言語には民間の通訳が入ることがある。
つまり、日本語での意思疎通が難しい受刑者が優先的に収容されるため、結果的に他の刑務所と比べると外国人受刑者が多くなるわけだ。他に国際対策室があるのは、横浜、大阪、栃木の各刑務所。外国人受刑者に言語や宗教上の配慮が必要との考えは、受刑者の処遇などを定める刑事収容施設法が根拠になっている。
専門家「分断を深めかねない」
矯正施設での外国人対応に詳しい早稲田大大学院の宮崎里司教授(言語教育政策)は、外国人受刑者を一部の施設に集約する狙いについて「通訳や日本語教育、宗教上の配慮といった専門的な体制を効率よく整えるためだ」と説明する。府中刑務所の外国人受刑者の割合が独り歩きした点について「過度な不安を招いて社会の分断を深めかねない」と危うさを指摘している。



