災害デマ、収益目的に変化 生成AIで偽動画も…専門家が対策を解説
災害デマ、収益目的に変化 生成AIで偽動画も…専門家が対策

熊本県で最大震度7を観測した地震を巡り、SNSではデマや真偽不明の情報が拡散している。過去の災害でもデマは繰り返され、近年は生成AIの技術向上で精巧な偽画像・動画も出回るようになってきた。災害時のSNSを研究する兵庫県立大の木村玲欧教授(防災心理学)に対策や注意点を聞いた。

「収益目的」のデマが増加

木村教授は、今回のSNSの状況について「2016年の熊本地震では『動物園からライオンが逃げ出した』というデマが広がり、当時は愉快犯の傾向が目立った。最近は災害の不安を利用し、報酬を得ようとする『収益目的』が増えている」と指摘する。

さらに「X(旧ツイッター)でインプレッション(閲覧数)を稼ごうとするものに加え、地震当時の動画だとする投稿から動画共有アプリへの登録を誘導する手口もあった」と明かす。

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生成AIによる偽動画も

また、生成AIを用いたとみられる偽動画が確認され、中には偽のニュース動画もあったという。「以前はAIの動画は不自然な部分があり気づけたが、最近は見分けがつかない。AIによってデマの質が変わり、SNSの広がりで量も増えた。事態は悪化している」と警鐘を鳴らす。

デマが広がる理由

デマが広がる理由について、木村教授は「私たちは災害に遭うと、不安に感じ、状況を早く把握しようと様々な情報を調べる。『人命を助けたい』『社会で共有したい』との善意から、よかれと思って拡散してしまう」と説明。

その上で「それは悪意のある発信者の行為に加担することになり、消防や警察、行政の災害対応に影響を与える恐れがある」と警告する。

災害対応の段階ごとの特徴

災害対応の段階ごとの特徴については、直後は原因や被害が注目され、今回も人為的に起きたとする「人工地震」や、地震を予測したという根拠のない投稿があったと指摘。

救助活動が落ち着くと、停電や断水など生活やインフラに関する内容が広がりやすくなり、「熊本の被災地は暑さが厳しい。誤った飲料水の配布場所や、熱中症予防の不適切な対策の拡散が予想される」と述べる。

さらに「『外国人窃盗団がいる』『性犯罪が続発』といった治安に関連したデマも特徴的だ。不安や恐怖をあおり、マイノリティーの差別につながりかねず、注意が必要だ」と強調する。

求められる対策

対策として、木村教授は「自治体や国が、事実と異なる情報を集約し、住民が確認しやすい仕組みを設けることが求められる。その際には、ファクトチェックに取り組む報道機関と連携する方法もある」と提案。

また「過去の事例を蓄積し、発生間もない時期に予防的に周知するのも有効だ」と付け加える。

最後に「対策を講じても、デマ自体はなくならない。最後は一人一人が事実か不明な情報に触れた時には、広めないことを徹底するしかない」と訴えている。

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