DAZNサッカー受付停止、980円プランに年間契約の落とし穴
DAZNサッカー受付停止、980円プランに落とし穴

DAZNサッカーが受付停止…「W杯が980円」と喜んだ人が事前チェックすべきだった「利用規約」より使える「情報源」

FIFAワールドカップ2026(サッカーW杯)が開幕し、全試合を生中継する権利を持つ配信サービスDAZNで、わかりにくい年間契約システムが問題になっている。ITジャーナリストの神田ポール敏晶氏は「DAZNは謝罪したが、消費者を惑わせるダークパターンの契約だったことは間違いない」と指摘する。

W杯中継権を持つDAZNが炎上

4年に一度のフットボールの祭典、サッカーワールドカップが開催され、世界中のサッカーファンの熱気は最高潮に達している。今大会はNHKでもBS4K放送を含めて104試合が放送されるが、生中継は34試合のみ。104試合すべてをリアルタイムでライブ配信する権利を完全に掌握したのは、スポーツ動画配信の巨人「DAZN」だけだ。放映権料は約300億〜350億円と推定される。

NHKでは録画放送が多く、録画放送直前の「デイリーハイライト」で試合結果を先に伝えてしまい、結果を知ってから録画を見るという残念な視聴体験も生まれている。そんな中、テレビの大画面だけでなく、スマートフォンやタブレットでいつでもどこでも歴史的瞬間を目撃したいと願う多くのファンが、DAZNへの加入や再加入を検討・契約した。しかも、サッカーのみの視聴だと「980円」というプランの表示が踊る。

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月額980円で解約できると思われた

しかし、その期待に冷水を浴びせる事態が6月11日ごろからSNSを中心に急速に拡大した。「あまりにもトラップすぎる」「これは新手のダークパターン(消費者をだますWebデザイン)ではないか」と、X(旧Twitter)上には怒りと困惑の投稿が殺到し、瞬く間にトレンド入りした。

問題となったのは、W杯全試合が視聴できるとして期間限定で投入されたサッカー特化型プラン「DAZNサッカー」の料金表示だ。画面に大きく躍る「980円」という魅力的な数字。しかし、その甘い言葉の裏には、多くのユーザーが「だまされた」と感じる巧妙な契約ルールが仕掛けられていた。

途中解約できず年間2万6000円超

問題のタイムセールは、4月21日から8月30日までの期間限定で提供されている「DAZNサッカー」プランのキャンペーンだ。7月20日までに申し込むと、「最初の3カ月は月額980円」で視聴できるという触れ込みだった。

通常、全コンテンツが視聴できる「DAZNスタンダード」が月額4200円(月間プランの場合)であることを考えれば、サッカーのみに特化しているとはいえ「980円」は破格に見える。「W杯の期間中だけ契約し、大会が終わったら解約すれば安上がりだ」と判断したユーザーが続出したのは当然の心理だろう。Netflixのように1カ月で解約すればよいと考えた人も多い。

しかし、ここに落とし穴があった。この「DAZNサッカー」は、「年間プラン(月々払い)」の契約が絶対条件だったのである。つまり、3カ月後に解約しようとしても、年間契約の縛りがあり、途中解約ができない。結果的に年間2万6000円超の支払いが発生する仕組みだった。

月額1980円のプランもあったが…

実はDAZNには、月額1980円の「DAZNサッカー月間プラン」も存在していた。しかし、キャンペーンでは980円のプランが前面に押し出され、1980円のプランはわかりにくい位置に表示されていた。多くのユーザーは、980円のプランが月額制で解約自由だと誤解したまま契約してしまった。

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1年縛りはよく見なければわからない

契約画面では、年間契約であることの表示が小さく、あるいはスクロールしないと見えない位置に配置されていた。利用規約を詳細に読まなければ、1年縛りがあることに気づきにくい設計だった。これに対し、DAZNは「お詫び」を発表し、契約画面の改善を約束したが、すでに契約したユーザーからは「返金してほしい」という声が上がっている。

消費者を惑わす「ダークパターン」

こうした手法は、海外では「ダークパターン」と呼ばれ、消費者を意図的に誤解させるWebデザインとして問題視されている。日本でも、サブスクリプションサービスにおけるダークパターンは増加傾向にあり、消費者庁も注意喚起を行っている。

DAZNが異例の「お詫び」

DAZNは6月12日、公式サイトで「お詫び」を掲載。キャンペーン画面の表示がわかりにくかったことを認め、改善策を講じるとした。しかし、既存契約の解除や返金については言及しておらず、ユーザーの不満は収まっていない。

外資系サブスクの不都合な舞台裏

DAZNは英国発のスポーツ配信サービスで、日本市場では積極的な投資を行ってきた。しかし、今回の騒動は、外資系サブスクリプションサービスが時に消費者にとって不親切な契約条件を設ける実態を浮き彫りにした。

ワールドカップの放映権は高すぎる

W杯の放映権料は高騰の一途をたどっており、DAZNが300億円以上を投じて獲得したのも理解できる。しかし、そのコストを消費者に転嫁する形で、複雑な契約条件が設定された可能性がある。

国を頼っても「従量課金」される

日本では、NHKが一部のW杯試合を放送するが、全試合を視聴するにはDAZNへの加入が事実上必須となっている。国営放送に頼っても、結局は民間サービスの従量課金に依存せざるを得ない現状がある。

契約前にリスクがわかる情報源

消費者がこうしたトラブルを避けるためには、契約前にリスクを把握できる情報源を活用することが重要だ。神田氏は「Googleマップのクチコミや、SNSでのユーザーの声をチェックするのが有効」とアドバイスする。

Googleマップでクチコミを見る

実際にサービスを利用したユーザーの評価や口コミは、公式の宣伝文句だけではわからない実態を教えてくれる。特に、解約時の手続きや追加料金の有無などは、口コミで確認しておくと安心だ。

サブスク契約で後悔しないために

サブスクリプションサービスは便利だが、契約条件をよく確認しないと、思わぬ出費を強いられることがある。特に期間限定のキャンペーンには注意が必要で、小さな文字で書かれた利用規約を必ず読む習慣をつけたい。また、クーリングオフ制度の対象外であることも多いため、慎重な判断が求められる。

DAZNの今回の対応は、今後のサブスク業界全体の透明性向上につながるか注目される。