福岡県上毛町の特別養護老人ホームで働いていた元技能実習生のフィリピン人女性(29)が、妊娠を理由に退職や帰国を余儀なくされたとして、施設を運営する社会福祉法人や監理団体などに慰謝料や未払い賃金など計約640万円の支払いを求めた訴訟の判決で、福岡地裁小倉支部(千賀卓郎裁判長)は4日、被告側に314万円の支払いを命じた。
妊娠発覚後の経緯
判決によると、女性は2019年10月から同町の社会福祉法人「みのり会」運営の老人ホームで介護業務に従事。2021年4月に妊娠が分かると、受け入れを仲介した公益財団法人「人材育成振興財団」(大分市)の理事が女性のパートナーに中絶を勧めるなどし、女性は意思に反して帰国同意書に署名させられ、同年8月に退職し帰国した。
裁判長の判断
千賀裁判長は「中絶などの特定の選択への誘導は許されず、社会的相当性を著しく欠く」と指摘。私生活上の自由を侵害した被告側の不法行為を認定した。
施設側の対応
みのり会は「判決文を精査して対応を検討したい」とコメント。人材育成振興財団は「一切のコメントを差し控える」としている。



