カピバラは、地球上に現生する最大のネズミの仲間で、体重は35~65キロ・グラムあります。お湯につかる姿が報道されるなど穏やかでかわいらしいイメージがありますが、実際は野生ならではの生態を持っています。
野生での暮らしと体の特徴
野生のカピバラは、南米のパナマからアルゼンチン北東部にかけての草原や湿地に、10~20頭の群れで生息しています。泳ぎが得意で、主に水辺でくらし、天敵のジャガーなどの肉食動物が近づいたらすぐに逃げられるよう、水辺から離れることはほとんどありません。
体は水辺での生活に適応しており、足の指の間には水かきがあります。目・耳・鼻が一直線に並び、水面から出ることで、水中から周囲の安全を確認しやすい構造です。
井の頭自然文化園のカピバラ「なえ」
井の頭自然文化園では、2025年6月に那須どうぶつ王国から来園したオスの「なえ」を飼育しています。カピバラはおとなしそうに見えますが、オス同士の闘争が激しく、小柄な体格のなえは那須では群れから外れてくらしていました。1頭でかわいそうに見えるかもしれませんが、今はのびのびとしています。
展示場には縦約4メートル、横約3メートル、深さ70センチのプールがあり、なえは気温が高い日にはよく水に入ります。寒いのは苦手で、雨の日や寒い日は水にあまり入らず、冬場はヒーターが設置された屋根の下で過ごすことが多いです。
食事と飼育の工夫
カピバラは野生では1日に3~4キロ・グラムの水草や草を食べます。動物園では、青草、乾草、ペレット(固形飼料)、リンゴ、サツマイモなどを与えています。歯は一生伸び続け、前歯は鋭く、噛まれれば大けがにつながる危険性があります。野生では硬い枝や根を食べることで自然と削られますが、飼育下では難しいため、カシの枝や硬い乾草などを与えるなどの工夫をしています。
また、排泄は必ず水の中でする習性があるため、毎日のプール掃除が必要です。そのため、一般の家庭でペットとして飼うのに適した動物ではありません。
保全とガイドの取り組み
カピバラの野生個体数ははっきりわかっていませんが、絶滅の恐れは低いとされています。しかし、気候変動などにより水辺の環境に変化があると、彼らのくらしにも影響が出ると考えられます。
井の頭自然文化園では飼育係による「いきものガイド」を実施しています。ガイドを通して、穏やかでかわいらしいイメージだけで終わらせず、動物の野生本来の姿や魅力、彼らの置かれている現状についても伝えられるように取り組んでいます。



