「太りすぎでも痩せすぎでもないのに、疲労が抜けない」。そんな悩みを抱える人は、鉄不足が原因かもしれない。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏が、鉄欠乏性貧血の症状や改善方法を解説する。
鉄欠乏性貧血の主な症状
鉄欠乏性貧血の症状には、「何となく疲れている」という疲労感のほか、息切れ、動悸、頭痛、「何となく調子が悪い」という倦怠感などがある。重症化すると、まぶたの裏が白くなったり、爪が反り返る「スプーンネイル」が現れることもある。
鉄の摂取推奨量と食品
鉄欠乏性貧血の主な原因は、食事からの鉄の摂取不足だ。中野氏によると、鉄の1日の摂取推奨量は、成人男性で6.5~7.5ミリグラム、月経のある成人女性で10.0~10.5ミリグラム、月経のない成人女性で5.5~6.0ミリグラム(「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より)。これをクリアするために、食事からの鉄摂取を増やす必要がある。
食品に含まれる鉄には、動物性のヘム鉄と植物性の非ヘム鉄がある。ヘム鉄は赤身肉、レバー、カツオ、マグロ、イワシ、アサリなどから、非ヘム鉄は納豆、小松菜、ホウレンソウなどから摂取できる。両者を比較すると、ヘム鉄の方が体内への吸収率が格段に高い。コンビニで手軽に買える鉄補給食材としては、ゆで卵、レバー、レーズン、納豆などが挙げられる。
鉄の吸収を高める工夫
鉄以外では、ビタミンCの摂取が重要だ。ビタミンCには鉄の吸収を高める働きがある。また、ヘモグロビンはたんぱく質で構成されるため、たんぱく質の不足にも注意が必要だ。一方、インスタント食品や加工食品に含まれるリン酸塩は鉄の吸収を妨げるため、過食を避けるべきである。
発汗と貧血の関係
汗1リットル中には平均0.5ミリグラムの鉄が含まれている。夏場などに大量の発汗を伴う運動をすると、鉄欠乏性貧血が起こりやすくなる。
溶血性貧血にも注意
鉄欠乏性貧血のほかに、アスリートは溶血性貧血を起こすことがある。運動の衝撃で血管内の赤血球が破れ、成分が血漿中に漏れ出る「溶血」が原因だ。格闘技やラグビーなどのコンタクトスポーツ、着地衝撃を伴うバドミントン、バレーボール、長距離走などで多く見られる。市民スポーツとしてこれらの競技を楽しむ人も、溶血性貧血に警戒が必要だ。
血液検査でヘモグロビン値を確認
疲れが気になる人は、年に数回血液検査を行い、ヘモグロビン値を調べよう。男性で13g/dL未満、女性で12g/dL未満なら貧血、10g/dL未満ならかなり深刻な貧血が疑われる。重度の貧血は医師の指導を受け、鉄剤を処方してもらい、一刻も早い改善を目指すべきだ。



