奈良県総合医療センター(奈良市七条西町)は、血液がんに対する新たな治療法「CAR-T(カーティー)細胞療法」を県内で初めて開始したと発表した。患者自身の免疫細胞を遺伝子改変してがんを攻撃させる治療法で、1回の投与で長期間の効果が期待でき、完治を目指せる可能性を秘めているという。認可は全国で73施設目となる。
治療の仕組みと特徴
CAR-T細胞療法は患者自身の免疫細胞(T細胞)を利用する。患者の血液からT細胞を取り出して冷凍し、米国の専門施設で遺伝子を改変。がん細胞を見つけ出して攻撃する能力を備えた「CAR-T細胞」を作り、患者の体内に点滴で戻す仕組みだ。
抗がん剤による治療法はがん細胞以外の正常な細胞に影響が及ぶことがあるが、CAR-T細胞療法では自身の免疫細胞ががん細胞をピンポイントで狙って攻撃する。繰り返し治療を行うことが多い抗がん剤に対し、CAR-T細胞療法では1回の投与で細胞が増殖し、長期間の効果が期待できるという。
県内初の実施例
これまで治療を希望する患者は県外の病院に赴くしかなかった。同センターは今年2月に厚生労働省の認可を受け、県内在住の50代の女性に再発・難治性のリンパ節に関連した血液のがん「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」の治療を行った。
5月中旬に入院し、7月中旬にCAR-T細胞を投与。同センターで入院観察中で経過は良好という。
今後の展望
記者会見で八木秀男血液・腫瘍内科部長は「これまでは県外の医療機関に紹介していたが、県内で施術できるようになり、県民の利便性が向上した。他の医療機関と連携して治療を進めたい」と述べた。



