藤田医科大病院、国内初の子宮移植臨床研究へ作業部会を設置
藤田医科大病院、国内初の子宮移植臨床研究へ作業部会

藤田医科大病院(愛知県豊明市)が国内初となる子宮移植の臨床研究に向け、ワーキンググループ(作業部会)を組織し、議論を進めている。生まれつき子宮がない女性らが子供を持つ選択肢を広げる一方、救命や延命が目的の従来の移植とは異なるため、実現すれば臓器移植医療の一つの節目となる。

20診療科・部署が参加

子宮移植による出産は、子宮のない女性に別の女性から提供された子宮を移植後、体外受精させた受精卵を戻して行う。女性が出産した後は、子宮を摘出する。実現に向け、藤田医大では産婦人科や小児科、臓器移植科、精神科をはじめ、医療の質・安全対策部や看護部など計20の診療科と部署が課題を議論している。

子宮移植を巡っては、日本医学会が2021年7月、「症例数を少数に限定した臨床研究」を容認。国内には子宮の異常による子宮性不妊患者が約6万~7万人いると推定されている。同学会の方針を受け、藤田医大は、生まれつき子宮がない「ロキタンスキー症候群」などの20~30歳代の患者を臨床研究の対象として想定。人数も3人に絞る方針だ。がんなどで子宮を摘出した女性は今回の臨床研究の対象外となる。

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海外では実施例

責任者を務める産婦人科の木須伊織教授は「妊娠出産をあきらめざるを得ない女性の選択肢の一つとしたい」と説明する。子宮移植は09年、木須氏が当時所属していた慶応大のグループが基礎研究を始めた。16年に慶大病院内で議論が始まり、25年2月、3人の臨床研究が承認された。しかし、木須氏が藤田医大に移ったこともあり、実施には至っていない。

この間、14年9月にスウェーデンで世界初の子宮移植患者の出産があった。子宮移植は米国など20か国以上で実施されており、アジアでも韓国や中国、インドで実施例があるという。

藤田医大の研究計画は、学内の審査委員会へ年内申請を目指し、作業部会の検討とともに同委で審査される。承認後に実施を最終承認する今泉和良院長は、6月22日の初回部会の冒頭、「生命維持とは異なり、臓器移植の新しい局面となる。安全性や技術性など議論すべきことは多く、忌憚のない意見を述べてほしい」と、メンバーに呼びかけた。

課題多く長期ケア

課題は医学、倫理、社会など多方面にわたる。費用は現時点の見積もりで約2500万円。脳死者からの移植は対象外のため、ドナー(提供者)は母親や出産を終えた姉妹などを想定。ドナーも移植を受ける女性も長時間の手術で負担が大きい。免疫抑制剤の副作用や感染症、高血圧、妊娠出産、新生児の管理など課題は多い。さらに、出産後は免疫抑制剤の使用をやめるため、移植した子宮を摘出する。

看護部から部会に参加する片方容子副部長は「移植して、妊娠して出産して、新生児を見守り、子宮をまた摘出するまで、対象者やドナー、家族の心の揺れにも添うことが求められる」と指摘した。

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