認知症専門医が語る「幸せな患者」と「不幸せな患者」の決定的な違い
認知症専門医が語る幸せな患者と不幸せな患者の違い

認知症専門医の繁田雅弘氏は、認知症になった人への接し方について「どんな言葉をかけるかが重要だ」と指摘する。周囲は「認知症だからわかっていない」と決めつけがちだが、本人にとって忘れていくことは大きな恐怖であるという。

忘れていくことへの恐怖

ある家族の話として、認知症になった母親が娘の名前を思い出せなくなった際、娘が「なんで思い出せないの?」と繰り返し責めてしまったという。すると母親は「私は一番忘れてはいけないことを忘れてしまったね、ごめんなさい」とつぶやいた。娘はその言葉に号泣し、「もっと気持ちに寄り添ってあげればよかった」と後悔した。

繁田氏は「医療や福祉も、認知症の人の能力を過小評価してきた。我々の想像よりずっと『わかっている』と思って話すくらいがちょうどいい」と述べる。

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「自分」ではなくなる恐怖

認知症の人は自信を失い、積み重ねてきた人生や尊厳を否定されるような気持ちになる。「自分じゃなくなっていく感覚」や、道に迷う不安、思い出せない自分への恐怖を抱えている。繁田氏は「その気持ちに寄り添うだけで、恐怖は和らぐ」と話す。

診療所で「忘れちゃうのよね」と言う患者に対し、「嫌なことも忘れちゃうんだからいいじゃない」と返したところ、患者は笑ったという。繁田氏は「いいことも忘れるが、嫌なことも忘れられる。だから周りから『いいこと』を教えてもらおうと約束した」と語る。

認知症になって幸せな人、不幸せな人

繁田氏は、認知症の人の多くが「自信」を失い、「恐怖」を抱えていると指摘する。周囲がその気持ちに寄り添い、「それでもいいのだ」と伝えることが、幸せな認知症生活につながるという。診察室での様子も、寄り添いを受けた患者は明らかに違うそうだ。

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