体の一部を失った人に寄り添う「人工ボディ」ことエピテーゼの製作者、田村さんは、胸を失い温泉に行けなくなった友人の声がきっかけで活動を始めた。2017年に独立してから、一人ひとりに合わせた完全オーダーメイドの製作と、安心して相談できる環境を大切にしている。
友人の声がきっかけで始まったエピテーゼ製作
田村さんは、「エピテーゼは、ただ作ってお渡しするものではありません。相談者の話を聞き、これからどのように生活したいのかを一緒に考えることを大切にしています。効率や利益を優先するのではなく、一人ひとりが自分らしく生活するための選択肢を届けていくことが、私の目指していることです」と語る。
アピアランスケアの明言と社会の変化
2023年3月、国は「第4期がん対策推進基本計画」の中で「アピアランスケア」という言葉を明言した。田村さんは「人は見た目ではない、という考え方もあります。もちろん、外見によって人の価値が変わるわけではありません。でも、これまでと見た目が変わったり、生まれつき人と違う外見であったりすることによって、心が深く傷つく方もいます。やりたかったことを我慢して人目を避けるようになるなど、日々の行動や選択が狭まってしまうことも少なくないんです」と話す。
当事者の選択肢を広げるための挑戦
当事者が体の一部を失ったことを隠さなくていいと考えるのであれば、その思いは尊重されるべきだ。大切なのは、本人がエピテーゼを使うかどうかも含め、自分の意思で選べること。そのためにも、まずはエピテーゼという選択肢があることを知ってもらいたいと田村さんは考えている。
エピテーゼ製作に取り組む中で、田村さんは体の一部を失った人を取り巻く3つの課題に気づくようになった。2019年には一般社団法人日本エピテーゼ協会を立ち上げ、必要としている人のために全力を尽くしている。



