愛知県警科学捜査研究所の研究員、坂崎美香さん(38)が、危険薬物の成分鑑定に応用が期待される化合物の合成方法を論文にまとめ、名古屋市立大学大学院で薬学博士号を取得した。科捜研での業務の傍ら、県警の休業制度を活用して取り組んだ研究成果で、「未知の薬物の鑑定に役立てたい」と意気込んでいる。
ドミノ反応を応用した合成方法
坂崎さんが博士号を取得した研究は、1度の操作で複数の化学反応が連鎖的に起こる「ドミノ反応」を応用した合成方法。複数の反応を順番に行う一般的な合成方法に比べて効率化が期待されるという。
科捜研によると、捜査で押収された薬物を鑑定する際は、同じ構造の化合物と比較し、薬物の化学構造を確認する。ただ、過去に鑑定例がない薬物の場合は、比較する化合物自体を合成する必要があり、種類によっては鑑定に数か月を要するものもあるという。
新種の危険ドラッグに対応
近年、既存の薬物に構造を似せた新たな危険ドラッグの出現が相次いでいる中で、坂崎さんの研究は、比較する化合物を迅速に合成し、鑑定のスピードアップにつながると期待されている。
坂崎さんは名古屋市立大学大学院薬学研究科の博士課程に在籍しながら、2016年に科捜研に入所した。科捜研の存在は人気ドラマで知り、「分析で社会貢献ができるかも」との思いがあったという。
約1000回の実験を経て
入所後は業務と研究を両方こなす日々で、平日夜や土日を利用して研究に励んだ。県警は17年に警察業務と関係が深い研究活動を公務として認める制度を創設しており、坂崎さんはこの制度も利用しながら、研究に取り組んできた。
実験回数は修士1年の頃から約1000回に上り、記録を書き留めたA4ノートは計30冊を超えた。
博士号取得に坂崎さんは「手を動かして実験をした分だけ結果が出る研究だった。苦しかったが、一気に報われてうれしかった」と振り返った。



