「会話の見えるスナック」人気、AI字幕で難聴者も雑談楽しむ
「会話の見えるスナック」人気、AI字幕で難聴者も雑談

東京・五反田のスナック「Contentz(コンテンツ)」で、聴覚障害者も気軽に雑談を楽しめる「会話の見えるスナック」が定期的に開催され、評判を呼んでいる。AI(人工知能)の音声認識サービスを活用し、騒がしい環境でも複数人の会話の字幕が瞬時に表示される仕組みだ。

AIが会話を瞬時に字幕化

7月下旬の夜、雑居ビル2階のスナック「Contentz」。約30平方メートルの店内のカウンターなどにはタブレット端末と高性能マイクがいくつも置かれている。端末の画面には自席を中心に各方向がエリアとして色別に示され、各席に座る客やカウンター内のママらが一言話すと、瞬時に画面上に字幕が浮かび上がった。

難聴者らは、グラス片手にママの吉田美奈さんらと職場の話などを楽しんでいた。主婦(53)は「一般的な音声認識アプリでは健聴者の会話のテンポについていけず、ストレスでランチ会などには行かなくなった」と話し、スナックで交わされる会話が誰と誰の間でどう繰り広げられているのかをタイムラグなしに視覚的に把握できるため、「会話の雰囲気がわかるのがいい」と喜んでいた。

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開発の背景と広がり

この音声認識サービスは、筑波大発の新興企業「ピクシーダストテクノロジーズ」(本社・東京)が開発した「VUEVO(ビューボ)」。同社によると、AI音声認識アプリの普及で難聴者も1対1なら健聴者と話しやすくなったものの、複数人が意見を交わす会議への対応が課題だった。企業での障害者雇用が増える中、2023年にビューボが開発されると好評で、現在は300社ほどで導入されている。

さらに同社は、仕事だけでなく「娯楽をあきらめる聴覚障害者も多いのでは」と考え、昨年6月に難聴者向けのメイドカフェ体験会を企画、今年6月に初めて「会話の見えるスナック」を同店で開いた。この時に参加した9人全員が「このような場所が社会に必要」と好感触だったことから、定期開催が決まった。

今後の予定

ビューボの開発に携わった同社社員で言語聴覚士の川田夏希さん(35)は「難聴の赤ちゃんや高齢者はケアされやすいが、働く世代へのケアは少なく、苦労している方も多い。より主体的に生きる手助けができれば」と語る。

会話の見えるスナックは今後も同店で毎月第3木曜日に開く予定。

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