ヒロさんの新たな日常
横浜市保土ケ谷区にある社会福祉法人「夢21福祉会」の作業所。ヒロさん(46、仮名)がほかの利用者たちと、コーヒーのドリップバッグを作る作業をしていた。じょうごを通して小さな袋に粉を10グラムずつ流し込む。職員は「次はこれもお願い。できるかな」「いい感じ」と声をかける。「こんな細かい作業をこなせるとは思っていませんでした」と話した。
中井やまゆり園での20年
知的障害のあるヒロさんは、言葉でのやりとりが難しい。父親によると10代後半から壁を蹴破る、ガス台で紙に火をつけるなどの問題行動が激しくなり、2002年に神奈川県中井町にある県立施設の「中井やまゆり園」に入った。自分や他人を傷つける、物を壊すといった「強度行動障害」の状態の人を受け入れる県の中核施設だ。約20年間暮らしたが、3年前に退所し、今は夢21福祉会のサテライト型グループホームのアパートで、職員の支援を受けながら生活する。
やまゆり園事件から10年
10年前、県立津久井やまゆり園(相模原市)で入所者19人が元職員に殺害される事件が起きた。その後、同じ県立の中井やまゆり園(中井町)や愛名やまゆり園(厚木市)で、虐待などの問題が発覚した。いずれも知的障害のある人の入所施設。第三者調査などで指摘されたのは、地域や外部から切り離された閉鎖性と、入所期間の長期化という問題だった。
中井の改革プログラム報告は3年前、「園は地域での暮らしに即した支援ができていなかった」「終(つい)の棲家(すみか)的な意識へと陥っていく中で、閉鎖性はより高まり、地域の中で孤立してしまった」とした。地域側の受け皿不足も指摘した。



