地方選挙でSNS上に根拠不明な情報が飛び交い、結果に影響を及ぼしかねない事態が広がっている。地元メディアはデマや真偽不明な情報の検証を始めているものの、葛藤を抱えながらの模索が続く。
宮城県知事選で流れたデマと河北新報の対応
2025年10月に投開票された宮城県知事選では、「土葬」を巡る議論で注目されたのに加え、「知事はメガソーラーを大歓迎」などのデマが流れた。そんな中、地元紙の河北新報は「かほQチェック」と題したコーナーを設け、取材で確認できた事実を元に詳しく説明する記事を配信。拡散しやすい偽・誤情報への即応を優先した。
河北新報の大泉大介編集部長(取材時)は「公平・中立を大事にしつつ、有権者の判断材料を提示することにも重きを置いた」と振り返る。
兵庫県知事選をきっかけに高まった関心
選挙での真偽不明な情報の拡散に関心が高まったのは、24年の兵庫県知事選だ。候補者への誹謗中傷などがSNSで広がる一方、テレビや新聞は積極的に取り上げなかった。「有権者に必要な情報が届いていない」と批判が噴出した。大泉さんも「沈黙は良くないと強く意識するきっかけになった」と言う。
ただ、悩みも残る。河北新報は記事を無料公開してSNSに投稿したが、当時政治班次長だった瀬川元章さんは、多くの人が不正確な情報に振り回される現状に「読んでほしい相手に伝わっていたかを客観的に検証できなかった」と語る。また、対象にした偽・誤情報は現職に関するものが多く、現職を利したのではないかとの指摘もあり、葛藤を抱えながらではあった。ただ、現場の意欲は強く、大泉さんは「地元紙の矜持を現場の記者から教えられた」と言う。
京都府知事選での対応と今後の課題
26年4月の京都府知事選では、京都新聞がXに誤情報の削除を要請するなど、地元紙による対応が続く。選挙中のデマや中傷に対抗する地元紙の記事は、SNS上でどう拡散されたのか。今後の統一地方選を控え、地方メディア同士の連携やファクトチェックの手法を学び合うことの重要性が指摘されている。



