スタンフォード大学の経済学者らによる最新の研究で、生成AIの影響を受けやすい職種において、22〜25歳の若年労働者の雇用が減少していることが明らかになった。研究論文は2026年版として公表され、AIが雇用に与える影響を詳細に分析している。
若年層の雇用格差が拡大
研究では、AIの影響が大きい職種における22〜25歳の雇用水準は、影響が小さい職種に比べて19%低いことが示された。この差は前年の13%から拡大しており、若年層への影響が強まっている実態が浮き彫りになった。
経済全体で見ると、AIによる広範な雇用喪失の証拠は確認されていない。しかし、年齢層別に分析すると、22〜25歳の若年労働者ではAIの影響を受けやすい職種で雇用の減少が顕著だという。
データと分析手法
研究者らは、人事・給与計算代行企業「Automatic Data Processing(ADP)」が集計した匿名化された高頻度の給与データから大規模なサンプルを抽出。各職種へのAI影響度は、過去の研究で作られた労働市場への影響指標と、Anthropicが公開する「Economic Index」を利用した。
論文では、生成AIが急速に普及し始めた2022年末ごろの雇用指数を1.0とし、その時点を基準とする変化グラフを掲載。AIの影響を受けやすい職種から受けにくい職種までを20%ずつ5つに分け、全体の傾向を示している。
自動化と強化の違い
Anthropicの「Economic Index」では、人間の仕事を完全に置き換える「自動化」と、作業効率を高める「強化」を区別。会計士、監査人、受付係、IT関連は自動化の影響を受けやすいとされ、経営責任者や正看護師は強化に分類される。
研究者らによると、自動化が多い職種ほど若年層の雇用水準が相対的に低下し、強化型の職種では横ばいまたは増加が見られるという。また、学校教育や教科書から学べる「形式化された知識」が中心の職種ではAIの影響が大きく、実務経験が中心の職種では影響が限定的で雇用の伸びが見られた。
研究責任者のErik Brynjolfsson氏は、ワシントン・ポストのインタビューで、AI導入以前から働いている人の雇用は維持される一方、これから就職する若手が減少する可能性を指摘。若年労働者への影響が「現実に存在し、持続し、拡大している」と述べ、新卒採用の窓口が狭まることへの懸念を示した。



