かつて「日本のハワイ」と呼ばれていた宮崎県。観光客から「南国ですよね」と言われると、地元民は少し返答に困る。青い海、美しい海岸線、フェニックスやワシントニアパームの木々、燦燦と降り注ぐ太陽。確かに南国情緒にあふれている。しかし、それでも「南国」として語られることに、地元民は戸惑いを覚えるのだ。
「宮崎=南国」は戦略的に育てられた
実は宮崎が「南国」と呼ばれるようになったのは、昭和の新婚旅行ブームがきっかけだ。当時、観光戦略として「日本のハワイ」というイメージが積極的に広められた。しかし、実際の気候はというと、冬には霜が降りることも珍しくない。県内には九州最南端のスキー場「五ヶ瀬ハイランドスキー場」も存在する。
薄まりつつも消えない南国のイメージ
時が経ち、沖縄という圧倒的な南国の出現により、宮崎の「南国」イメージは薄れつつある。それでもなお、観光客の間では「南国」の印象が根強い。このギャップが地元民の戸惑いの原因だ。大小の島々が浮かぶ日向灘の絶景は確かに南国的だが、内陸部の山間部では冬日も多い。
宙ぶらりんな南国意識
地元民は「南国」と呼ばれることに対して、複雑な心境を抱く。確かに南に位置しているため、誤りではない。しかし、沖縄のような常夏のイメージとは異なる現実がある。観光客が抱く「当たり前」と地元民の「当たり前」は、しばしば異なるのだ。連載「ジモトのアタリマエ」では、そんな地元の価値観や知恵を紹介する。第7回は宮崎県。生まれ育った筆者が、意外な素顔を前後編でお届けする。
前編では「実は南国じゃない」日常について掘り下げる。後編では、宮崎の本当の魅力に迫る。



