「自分はほとんど眠らず、極限状態にある」とXでアピールした高市首相。その高市政権を突然襲った支持率急落の背景には、岩盤保守層の離反と「骨太ショック」と呼ばれる経済政策への懸念がある。
皇室典範改正で保守層が離反
皇室典範改正案をめぐり、衆議院では減税日本・ゆうこく連合の河村たかし氏、参議院では保守党の百田尚樹代表と北村晴男氏が、女性皇族が結婚後も皇室に残ることに反対し、採決に参加せずに途中退席した。河村氏は採決後に動画を配信し、「いい意味での保守的思想から反対した」と説明。要するに、高市早苗政権は岩盤保守層の一部に離反されたことになる。
その兆候は、10日から13日にかけて行われた時事通信の世論調査にも見られた。対面式で行われる同調査は、国民の実感に近いとの評価がある。今月調査では、内閣支持率が前月から5.3ポイント減の49%と、5割を切った。
中でも衝撃的だったのは、60代の支持率が39.9%と前月から23.8ポイントも減少したことだ。また、全体の6割近くを占める無党派層の内閣支持率は7.8ポイント減の39.6%で、「遠心力」が働いていることがわかる。
転換点となった「骨太ショック」
この傾向は、皇室典範改正問題が引き起こした一時的なものではない。高支持率の下で「高市離れ」はじわじわと進んでいたのだ。
ターニングポイントになったのは、6月30日に発生した「骨太ショック」だろう。政府の財政運営の基本となる「骨太の方針2026」の原案が明らかになると、長期金利は一時2.9%まで上昇し、ドル円相場も約40年ぶりに162円台後半に進んだ。
理由は「適切な金融政策運営が行われることが非常に重要」という文言が、日本銀行への圧力と受け止められたことだった。また「財政健全化」の文字が消えたことも、財政悪化の懸念を生んだ。
そもそも「骨太の方針」は、各省庁の垣根を越えて官邸主導の改革を進めるために小泉純一郎政権時の01年度から始まったものだ。政治のリーダーシップで行政の無駄を排することを目的とするが、政府が日銀の独立を規定する日銀法3条を否定するかのような「独裁」を許すものではない。
政治が中央銀行に干渉して経済混乱をもたらした例はある。アメリカでは第2次世界大戦時に戦費調達の1つとして金利に上限を定めたため、2桁のインフレを招いた。1972年の大統領選ではリチャード・ニクソン大統領がFRBのアーサー・バーンズ議長に低金利の維持を迫り、その後のアメリカ経済はスタグフレーションに陥った(肩書はいずれも当時)。



