「捨て石も繰り返せば積み上がる」日中関係に尽力した河野洋平氏を悼む
「捨て石も繰り返せば積み上がる」日中関係に尽力した河野洋平氏

中国が信頼する数少ない政治家の一人だった河野洋平元自民党総裁が、2026年6月8日に膵臓がんのため死去した。89歳だった。

国貿促会長として訪中を重ねる

2006年から日本国際貿易促進協会の会長としてほぼ毎年、企業幹部50~100人を率いて中国を訪問。15回目となった昨年6月は李強首相と面会し、レアアース(希土類)の対日輸出規制に触れ、「怒るのはこの辺にして、企業に仕事ができるようにしてもらいたい」と訴えた。

北京特派員として訪中団を取材した際には「正確に報じて欲しいから」と日中交流の歴史を解説してくれた。難しい時期に訪中する意義についてはこう語った。

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「僕が行って改善するほど生易しい日中関係ではない。だから捨て石で行く。捨て石でも、繰り返し投げることで積み上がり、少しずつ形になっていく。これが日中関係には必要だ」

河野談話と沈黙の信念

93年の「河野談話」では、近隣外交にかける思いと胆力を物語るエピソードがある。慰安婦問題で旧日本軍の関与と強制性を認めたことに「売国奴」と批判にさらされた。ある日、右翼団体関係者が包丁を持って私邸に押しかけた。

真意を改めて説明してはと周囲から進言されたが、かたくなに断った。

「談話に対する考えは変わらない。僕が話せば一部の日本メディアが批判し、その批判を韓国メディアが批判する。その応酬で日韓関係はさらに遠のく。日本をおとしめた人間だと言われて棺おけに入っても、日韓関係が改善するなら本望だ」

と沈黙を貫いた。

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