成田空港(千葉県)の運営会社は、国や県、周辺9市町との協議会で、土地収用法に基づき未買収の滑走路用地を強制的に取得する手続きを開始する方針を明らかにした。訪日外国人の増加で国際空港の機能強化が急務となる中、新滑走路の整備に向けた大きな前進と位置づけられる。
用地取得率は約90%、一部反対で手続き加速
滑走路新設に必要な土地の取得率は現在約90%に達している。運営会社はこれまで住民説明会を繰り返し開催し、大半の所有者から明け渡し同意を得たが、一部に反対者が残るほか、所有者不明の土地も存在する。用地取得の難航を受け、2026年4月には2029年3月に予定していた新滑走路の供用開始を延期していた。運営会社は「これ以上の遅れは許されない」と判断し、強制収用という手段に踏み切ったとみられる。
過去の「成田闘争」から対話路線へ転換
成田空港ではかつて、住民と国側が激しく対立した「成田闘争」が発生。反対派と機動隊の衝突で警官3人が死亡し、過激派による管制塔占拠で開港が遅れる事態となった。その後、国側は強制収用を控え、住民との対話路線に転じたことで闘争は沈静化した。今回の強制収用手続き再開は、当時とは状況が異なり、円滑に進められるとの判断に基づく。
新滑走路で発着枠50万回、利用者7500万人へ
新滑走路の供用開始により、成田空港の年間発着枠は現在の1.5倍にあたる50万回に拡大。利用者数も現在の4000万人から7500万人に増加する見込みで、「第2の開港」とも称される。アジアの各空港が滑走路やターミナルを増設し、人や物を積極的に呼び込む中、成田空港も滑走路拡充にとどまらず、施設や乗り継ぎ利便性の向上が求められる。
任意買収の努力継続と騒音対策が不可欠
用地取得の基本はあくまで任意買収であり、反対住民に対する明け渡し合意への最大限の努力が欠かせない。また、新滑走路使用開始後は航空機の空域拡大に伴う騒音対策が重要となり、運営会社には住宅の防音対策支援などが求められる。
羽田空港との連携強化も課題
羽田空港との連携強化も重要だ。両空港を短時間で結ぶ特急の整備により利便性が格段に向上し、合計発着枠はロンドンやニューヨークの空港と肩を並べる規模になる。こうした事業の推進も期待される。



