トランプ氏のイラン合意に共和党タカ派が猛反発「レーガンも草葉の陰で泣いている」
トランプ氏イラン合意に共和党タカ派が猛反発

ドナルド・トランプ米大統領がイランとの戦闘終結に向けた覚書に署名したことで、同氏と共和党のタカ派との間に異例の亀裂が生じている。強硬派議員らは、今回の合意はトランプ氏が約束していた「圧倒的な勝利」には到底及ばず、イランをより豊かで強くし、中東を脅かす能力を残すことになりかねないと警告している。

覚書の内容と批判の的

トランプ氏がフランスで署名した覚書は、数か月に及ぶ戦闘に終止符を打ち、エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を開放し、原油価格の高騰、ひいては中東危機の拡大懸念を招いた紛争を終わらせ、エネルギー市場を安定させることを目的としている。

だが、その条件は、民主党のバラク・オバマ元大統領が2015年にイランと結んだ核合意を「危険なほど脆弱だ」と長年にわたって非難してきた一部の共和党議員らを驚愕させている。共和党議員らは、トランプ氏がイランに対して制裁緩和や原油市場へのアクセス、さらには3000億ドル(約48.2兆円)規模の復興計画の見通しを提示している一方で、ウラン濃縮や弾道ミサイル、あるいはイランによる代理勢力への支援に関する確約を取れていないことに懸念を表明している。

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共和党議員の痛烈な批判

共和党のビル・カシディ上院議員はX(旧ツイッター)に、共和党のアイコンでもあるロナルド・レーガン元大統領が「草葉の陰で泣いている」と投稿し、覚書署名を「ここ数十年で最悪の外交政策上の大失敗」と批判。「開戦前、ホルムズ海峡は開かれ、イランは制裁にあえぎ、13人の米兵はまだ生きていた」「しかし今や、13人の米兵は死亡し、国民は高騰したガソリン代を支払い、制裁は解除され、爆撃は停止した」と付け加えた。

上院軍事委員会のロジャー・ウィッカー委員長も声明で、覚書はトランプ氏が掲げていた目標と「完全に矛盾している」と指摘。「イランがさらに60日間の交渉を行うことに同意しただけで」、制裁を緩和し資産凍結を解除することを激しく非難。「特に、イランの復興と経済開発のための3000億ドルの基金は、米国民の税金から賄われるわけではないにせよ、オバマ氏が2015年の核合意でイランに支払った額が、比較すると『はした金』に見えるほどの大金だ」と付け加えた。

トランプ氏の弁明と他の議員の反応

トランプ氏は覚書署名について、ホルムズ海峡を開放するための現実的な方法だと正当化し、あくまで最終決定ではなく覚書で、交渉がうまくいかなかった場合には米軍が空爆を再開する可能性もあると強調した。だがトランプ氏は、交戦中にイランの「完全降伏」や核開発計画の完全放棄を求めていたが、自ら要求レベルを引き下げたようにも見える。覚書に基づき、イランは60日間の交渉期間中、ホルムズ海峡を開放し続けることになっており、対話が継続している間は制裁措置の免除され原油を輸出することができる。覚書では、核兵器を求めないというイラン側の誓約が再確認されているものの、ウラン濃縮の即時停止や、高濃縮ウラン備蓄の引き渡しは要求されていない。

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共和党のテッド・クルーズ上院議員はトランプ氏に対し、「彼ら(イラン)が再建し、再び米国に対する脅威となるのを許すような、巨額の現金を突然与えるべきではない」と強く要求。「われわれ(米国人)を殺害したがっているイランのイスラム神権体制を強化してはならない。したがって、この合意が彼らに3000億ドルを与えるものであるなら、それは過ちだ」と述べた。共和党のジョン・コーニン上院議員(テキサス州選出)は記者団に対し、この合意は「一時的な休息」にすぎず、イランが軍を立て直し兵器を補充し、ウラン濃縮を継続することを許してしまうのではないかとの懸念を示した。

共和党のジョン・スーン上院院内総務は他の共和党議員たちよりは慎重な姿勢を示し、今回の合意がイランの核開発計画や弾道ミサイル、および代理勢力への支援問題に対処しているのかどうかについて、政府から回答を得る必要があると述べた。

一方、トランプ派の共和党議員たちは忍耐を呼び掛けている。リンゼー・グラム上院議員は、今回の合意によってホルムズ海峡が開放され、敵対行為が停止され、外交によってイランの核の野望を抑制できるかどうかを試す「機会」が生まれたと評価。政治専門メディア「ザ・ヒル」によると、グラム上院議員は、「彼ら(イラン)が核開発計画(の抑制)に応じるかは疑わしいが、試してみる価値はあるのではないか?」と述べた。

民主党の反応

今回の合意に挙党一致で反対している民主党は、トランプ氏が莫大なコストを要する戦争を開始した挙げ句、ほぼ戦前の状態に戻した上、イランに新たな力を与えるような合意を受け入れてしまったと批判している。民主党の上院トップであるチャック・シューマー院内総務は議場での演説で、「トランプ氏の著書『トランプ自伝 アメリカを変える男(原題:アート・オブ・ザ・ディール、取引の技法)』を買った人は全員、返金を求めるべきだ。なぜなら、トランプ氏がイランで実演したのは『アート・オブ・ザ・ディザスター(大惨事の技法)』だからだ」と皮肉った。