米最高裁がトランプ関税を違憲と判断、政権は相互関税を撤回し通商法122条で10%追加関税を150日間実施
米最高裁がトランプ関税を違憲と判断、政権は相互関税を撤回し通商法122条で10%追加関税を150日間実施

トランプ大統領は2025年4月、「相互関税」を発表した。根拠としたのはIEEPAで、「アメリカの貿易赤字が1兆ドルを超えて危機的な状態にある」と認定した上での措置だった。この日を「解放の日」と名付け、「これでやっとアメリカは外国の不当な仕打ちから自由になる」と宣言したが、一方的に国別の税率を定め、「ハイ、日本は24%ね」などと公表したため、世界中に衝撃が走った。

当時の様子を、慶應義塾大学大学院の小幡績教授は「これはホラー映画ではなく現実の世紀末、『世界経済へのトランプ自爆テロ』で資本主義は終わり、新しい時代が来る」と当欄で表現した。さらに、ハワード・ラトニック商務長官が各国への関税をまとめたパネルをトランプ大統領に手渡す姿は「あたかも社内忘年会でビンゴゲームの景品リストを社長に渡す課長のようだった」と描写している。

日米関税合意までの道のり

その後、赤沢亮正経済再生担当相による「ワシントン詣で」が始まった。2桁回数に及ぶシャトル外交を重ねた結果、ラトニック商務長官との間に信頼関係を築き、昨年8月に「日米関税合意」が成立した。日本が5500億ドルの対米投資を行う見返りとして、日本向けの相互関税と自動車関税をともに15%に引き下げる内容だ。EUや韓国もこのやり方を追随し、「トランプ関税は交渉のツール」であることが印象づけられた。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

最高裁が下した違憲判決

一方で、トランプ関税には多くの訴訟が提起され、IEEPAを根拠とすることの是非が争点になった。IEEPAにはそもそも「関税」という文言がなく、合衆国憲法は関税を決めるのは議会の仕事だと定めている。下級審では政府の敗訴が続き、2度の控訴を経て米最高裁に持ち込まれた。最高裁は保守派6対リベラル派3の構成で、トランプ大統領自身が指名した判事も3人含まれるため、現状を追認する判決になると見る向きが多かった。

ところが年明け2月20日、IEEPA関税に対する違憲判決が言い渡された。「保守派最高裁なのに違憲判決」ではなく、「保守派最高裁だからこそ違憲判決」だったという理屈は、先の稿で詳しく述べた通りだ。かくしてトランプ政権は「相互関税」と「フェンタニル関税」を撤回せざるを得なくなった。

代替関税措置の発動

政権は急きょ2月24日から、通商法122条に基づく代替関税措置を実施した。巨額の国際収支赤字に対応するための緊急措置として、150日間に限りすべての国から10%の追加関税を取るという内容だ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ