サウジ・トルコ・パキスタンが共同防衛協定、中東情勢の激化で
サウジ・トルコ・パキスタンが共同防衛協定署名

サウジアラビア、トルコ、パキスタンの3か国は7日、「メッカ共同防衛協定」に署名した。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃や米イランの交戦によって中東情勢が激化する中での動きだ。

集団安全保障の強化

国営サウジ通信とパキスタン外務省が公表した共同声明によると、3か国は「集団安全保障を一層強化し、中東およびそれを超えた平和、安全、安定を促進するという共有されたコミットメント」を表明した。パキスタン外務省は、本協定は3か国いずれかに対する攻撃を3か国すべてに対する攻撃と見なすことを意味し、「集団的抑止力を強化することを意図したものだ」と説明している。

サウジは、周辺国を巻き込みホルムズ海峡や紅海での海上輸送を混乱させている米国とイランの交戦を背景に、安全保障関係の強化を目指している。米国との交戦で勢いづいたイランとその支援を受けるフーシ派がサウジを攻撃している。

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特定の国を標的にしない

大統領府広報局長と政府の偽情報対策サービスのX(旧ツイッター)の投稿によると、トルコはその後、本協定は「特定の国を標的にしたものではない」と表明。「本協定は、NATO(北大西洋条約機構)の中核を成すものを含む、トルコが既存の国際同盟において負っているコミットメントと矛盾するものではない」と付け加えた。サウジも「本協定は軍事軸や宗派ブロックの創設を目指すものではない」と述べた。

サウジはイスラム教スンニ派が85~90%。トルコは国教がイスラム教でスンニ派が大多数。パキスタンはイスラム教が国教で96.5%を占め、大部分がスンニ派だ。

安全保障の多層化

ライド・クリムリー・パブリック・ディプロマシー担当副大臣はXで、同協定について「核の野心や軍拡競争に関連するものでもなく、むしろ持続可能な能力の構築に焦点を当てている」「中東のいかなる国の安全保障にとっても脅威となるものではない」と述べた。

中東紛争が始まって以来、サウジは紛争の仲裁と解決を推進するトルコ、エジプト(国教のイスラム教が90%で大半がスンニ派)、パキスタンとの関係を深めてきた。英バーミンガム大学でサウジアラビアの外交政策を研究するウマル・カリム氏は今回の連携について、「明らかにイランを意識したものであり、ペルシャ湾岸地域全体の覇権掌握を狙うイランの新たな戦略的アプローチに対抗することを目的としている」と述べた。イランは国教がイスラム教でシーア派が大多数。トルコとパキスタンがイランと国境を接しているという事実は、両国がイランに対して「一味違う影響力を行使できる」ことを意味すると付け加えた。

サウジの軍および政府に近い情報筋は署名に先立ちAFPに対し、協定自体は長期にわたり議論されていたものだが、「最近の中東情勢の激化が議論を加速させた」と語った。

米国への依存から多様化へ

キングス・カレッジ・ロンドンのアンドレアス・クリーグ氏は本協定について、米国との同盟に依存せず、同盟関係を多様化させたいという明確な意図を示していると指摘。「サウジアラビア、トルコ、パキスタンは米国に取って代わろうとしているわけではない」「米国が自らの権限を行使できない、または行使しようとしない場合に備えて、自国の利益を守るための能力を構築している」と付け加えた。さらに、特にサウジはイラン紛争の衝撃を経て、「単一の米国の傘よりも、複数の安全保障の層を望んでいる」と述べた。

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この協定は、中東の安全保障の取りまとめ役となり、防衛の傘を多様化させるというサウジの野望を後押しするものだとクリーグ氏は分析する。またトルコとパキスタンにとっては、政治的影響力の獲得やサウジからの投資誘致の機会につながると付け加えた。サウジとパキスタンはすでに2025年に相互防衛協定を発表しており、パキスタンがイスラム圏で唯一の核保有国であることから注目を集めていた。