日本の人口減少が加速、将来6000万人に半減する危機
日本の人口は今後数十年で現在の約1億2000万人から約6000万人まで半減すると予測されている。社会学者で日本大学危機管理学部教授の西田亮介氏と、経済学者で大阪大学大学院教授の安田洋祐氏が、プレジデント公式チャンネルの人気企画「日本ってどうなんですか会議」で、この深刻な人口減少問題について徹底討論した。
西田氏は「少子化と人口減少は日本が直面する最も深刻な社会問題の一つだ」と指摘。安田氏も「このままでは日本の社会システムが維持できなくなる」と警鐘を鳴らす。両氏は人口動態の最新データを基に、なぜ人口がこれほど減少したのか、その要因を多角的に分析した。
団塊ジュニアと氷河期世代が生んだ人口減少の連鎖
人口減少の背景には、団塊世代を親に持つ「団塊ジュニア」の誕生と、その後の就職氷河期世代の経済的苦境があると西田氏は説明する。団塊ジュニア世代は1970年代前半に生まれ、第二次ベビーブームを形成したが、その子供世代が少子化の波に呑まれた。
安田氏は「もし氷河期世代が経済的に苦しくなかったら、出生率はもう少し高かったかもしれない」と仮説を提示。経済的不安定が結婚や出産の意思決定に大きな影響を与えた可能性を指摘した。西田氏も「経済的な理由で子どもを持てない人が多いことが、少子化の一因だ」と同意する。
子育て支援だけでは人口減少は止まらない
現在の少子化対策の中心である子育て支援について、両氏は「効果は限定的だ」と指摘。西田氏は「子育て支援を強化しても、子どもを持つことの効用と不効用のバランスが改善されなければ、出生率は上がらない」と述べる。
安田氏は「子どもを持つことの効用は、経済的コストや時間的制約といった不効用を上回る必要がある」と解説。子育ての不効用として、教育費の高騰や共働き家庭の時間的負担を挙げた。特に「産休育休もらい逃げ」論争について、両氏は「制度の悪用は一部に過ぎず、むしろ制度の普及が重要」と指摘する。
子どもが増えやすい社会とは?「育メン」訴求の功罪
子どもが増えやすい社会の条件として、西田氏は「男性の育児参加が不可欠」と強調。しかし「育メン」という言葉での訴求については「逆効果だった可能性がある」と述べる。安田氏も「男性の育児参加を促進する政策は重要だが、『育メン』というレッテル貼りが男性の負担感を増やした面もある」と分析する。
両氏は、恋愛と結婚を切り離すことで活路を見出す可能性に言及。結婚しなくても子どもを持てる社会制度や、多様な家族形態の受容が出生率向上につながる可能性を議論した。
人口減少社会を生き抜くための処方箋
西田氏は「人口減少は避けられないが、社会の仕組みを変えることで、減少する人口でも持続可能な社会を築くことができる」と展望。安田氏も「経済学の観点から、労働生産性の向上や移民の受け入れなど、複合的な対策が必要だ」と提言する。
両氏は、子育て支援だけでなく、働き方改革や社会保障制度の見直し、地域コミュニティの再構築など、多角的なアプローチの重要性を強調。人口減少を「危機」ではなく「変革のチャンス」と捉え、社会全体で対応する必要性を訴えた。



