11月の米中間選挙に向けて今月11日に実施された中西部ウィスコンシン州知事選の民主党予備選で、勝利が有力視されていた民主社会主義者の候補が敗れる「番狂わせ」があった。これまで各地の予備選では、民主社会主義者の候補が都市部を中心に勝利を重ねてきたが、ブルームバーグ通信は今回の敗北が「快進撃に歯止めをかけた」と指摘。影響力も都市部に限られているとの見方もある。
穏健派のクロウリー氏が勝利
この予備選で勝利したのは穏健派のクロウリー元州下院議員。民主社会主義者を自称する韓国系のホン州下院議員を僅差で破った。事前の世論調査では一貫してホン氏が有利とされ、クロウリー氏も勝ち目が薄いことなどを理由に一時は選挙戦から離脱していただけに、多くの米メディアは結果を驚きを持って報じた。
民主社会主義の広がりと限界
民主社会主義は資本主義による行き過ぎた富の集中を問題視し、格差の是正を目指す考え方で、富裕層への課税強化などを掲げる。2028年大統領選への出馬がささやかれるオカシオコルテス下院議員や、東部ニューヨークのマムダニ市長が象徴的存在とされる。
これまでの民主党予備選では、ニューヨークや首都ワシントン、西部デンバーなどを中心に、民主社会主義者を自称する候補が勝利を重ねてきた。ただ、米社会では民主社会主義に対する嫌悪感も根強く、広範な市民の支持を集めているとはいえないのが実情だ。
世論調査が示す支持の偏り
米シエナ大が今月12日に公表した世論調査では、米最大の社会主義団体「米民主社会主義者(DSA)」に好意的なニューヨーク州の有権者は30%にとどまったのに対し、否定的な割合は47%に上った。郊外に限れば好意的と答えたのはわずか16%。マムダニ氏のおひざ元のニューヨークでさえ人気は都市部に偏っていることが浮き彫りになった。
米メディアはホン氏が敗れた理由について、過去の失言などに加えて、民主社会主義者の候補では本選で与党・共和党候補には勝てないとみる民主党員が多いと推測。勝利したクロウリー氏も予備選直前に「民主党内だけでなく、米国全体がその方向(民主社会主義)に向かうのを懸念する人は多い」と訴えていた。米紙ニューヨーク・タイムズは、「ウィスコンシン州での衝撃的な敗北は左派の限界を示した」と報じた上で、「民主社会主義の波は都市部以外には届かないことを示したのかもしれない」と指摘した。



