南米ペルーで28日、日系3世で中道右派のケイコ・フジモリ氏(51)が大統領に就任した。任期は5年。就任式の演説で「国家の状況は極めて深刻だ」と述べ、山積する課題の解決に取り組むと宣言した。
4度目の挑戦で悲願の就任
フジモリ氏は、2年前に死去したアルベルト・フジモリ元大統領の長女で、4度目の挑戦で就任を果たした。左派候補に僅差で勝利したことから、就任に抗議するデモも起きている。中南米では強硬な治安対策を掲げる右派政権の誕生が相次ぎ、フジモリ氏もその流れに乗った形だ。首都リマでの就任式には、近年右派政権が誕生したチリやホンジュラスなどの大統領らが出席した。
治安対策と社会格差の解消を掲げる
演説では「国の成長の恩恵から取り残されてきた人々のために尽力する」と述べ、「巨大な社会格差の解消」を最終目標に掲げた。まず、国民の関心が高い治安対策を優先する考えを示した。ペルーでは都市部を中心に組織犯罪が多発し、麻薬密売を資金源とするテロ組織の活動も活発化しており、政府は一部地域に非常事態を宣言している。
フジモリ氏は、犯罪増加の背景に周辺国からの不法移民の流入があるとみて国境地帯に治安部隊を派遣する考えを示しており、演説では「非常事態宣言中は軍が警察と連携し、治安作戦を主導する」と強調した。
エルニーニョ現象への対応も課題
今月、ペルー沖で発生した「エルニーニョ現象」への対応にも着手する。海面水温が平年より高い状態が続き、豪雨や干ばつを引き起こす現象で、フジモリ氏は「我が国の何千人もの農民を貧困に陥れてきた脅威だ」と指摘した。特別予算を組み、災害時の緊急対応計画の策定や河川堤防の建設など、インフラ対策を強化する方針だ。
政治的混乱と国民の分断
ペルーでは、汚職疑惑などで大統領の罷免が相次ぎ、過去10年間に8人が交代した。左派勢力が大統領選の不正を訴えるほか、強権的な政治手法を取った父アルベルト氏に反感を抱く「反フジモリ派」も就任に抗議している。フジモリ氏は、こうした反発を念頭に、党派などを超えて結束し、国の将来を考えるよう呼びかけた。



