ドイツの現政権が進める移民・難民受け入れ政策の厳格化について、ケムニッツ工科大学のビルギット・グロリウス教授(移民政策)は、メルケル政権時代の統合支援の不足が一因だと指摘する。2015年以降、中東などから100万人以上の難民が流入したが、その後の統合策が不十分だったことで国民の不満が高まり、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭を招いたという。
厳格化の背景と現状
グロリウス教授は、現在のメルツ政権が移民・難民政策を厳格化した背景に三つの理由があると分析する。第一に、不法移民や外国人による犯罪への懸念。第二に、難民受け入れ費用の負担に対する自治体の不満。第三に、極右政党AfDへの対抗である。メルツ首相の政党は総選挙で掲げた公約を部分的に実現しており、不法移民の入国を減らし、補完的保護を受ける人の家族呼び寄せ(再統合プログラム)を一時中止した。また、ドイツで罪を犯した難民をシリアやアフガニスタンに強制送還する取り組みも進めている。
排外主義的言説の常態化への懸念
しかし、グロリウス教授は研究者として懸念を示す。排外主義的な言説が常態化し、社会の分断が深まるリスクを指摘する。特に、AfDの支持拡大により、移民・難民に対する寛容な姿勢が後退し、統合政策が逆行する可能性があると警告する。
メルケル政権の統合支援の不足
グロリウス教授は、メルケル政権が難民受け入れに注力する一方で、統合支援を怠ったと批判する。言語教育や就労支援などのプログラムが不十分で、難民の社会参加が進まなかったことが、現在の反移民感情を強めた要因の一つだと述べている。
今後の課題
ドイツの移民政策は転換点にある。厳格化が進む一方で、労働力不足を背景に移民の必要性も叫ばれている。グロリウス教授は、持続可能な統合策と社会的な受容のバランスが重要だと強調する。



