「どんどん造って、どんどん捨てる」路面電車の中国式発展
路面電車の中国式発展「どんどん造って捨てる」

中国の路面電車は2010年代、環境重視を掲げる政策のもとで復権に向けて走り出した。計画不足の路線は運行停止に追い込まれているものの、「どんどん造って、どんどん捨てる」中国式発展は、新しい技術を生み出す原動力にもなっている。

パンダも駆ける

紀元前3世紀、秦の時代に造られた灌漑施設で世界遺産の都江堰(四川省)。近くには「国宝」パンダの繁殖研究基地もある。観光客を呼びこもうと、パンダのイラストを車内外に施した路面電車が走る。道教の発祥地とされる青城山にも停留所がある。

2024年夏、最寄りの高速鉄道駅まで乗ってみた。最高時速70キロで設計されたぴかぴかの車両はぶんぶん飛ばす。車内はガラガラ。家族連れを含めて5人ほど。車窓からバブル経済の残り香のような高層マンションが見える。レジャーランドの観覧車は人の気配がない。苦境の不動産会社が手がけた開発案件だ。

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復活の兆し

中国の路面電車は1960年代以降、戦前の日本製の車両が今もなお走る遼寧省大連など一部を除いて、トロリーバスやバス、地下鉄などに置き換わった。

復活の兆しが見えてきたのは2010年代。世界最大の温室効果ガス排出国として、政府は環境にやさしい乗り物とされる電気自動車(EV)や路面電車に目をつけた。

政権の意向 地方政府が張り切る

戦前に中国へ渡った日本製の路面電車史を深掘りした「大陸浪人路面電車」の著者で、中国の鉄道事情に詳しい岡田健太郎さん(52)は言う。「中央政府の意向を受けて、地方都市の幹部たちは出世のために業績を上げようと地下鉄などより手軽に造れる路面電車を推進した」

地方都市の「格」をあげる交通機関としても流行した。あっというまに20都市以上で新設された。架線なしで走る電池式は珍しい。

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