リンクアンドモチベーションは8月25日より、日本経済新聞社 人財・教育事業ユニットとの共催で、カンファレンス「HR-X 2026」(HR Transformation Summit 2026)を開催している。このカンファレンスは、8月25日/27日、9月1日/2日/3日の5日にわたり、各日に2セッションずつのオンライン配信(Zoom)という形で開催されている。
初日のセッションの内容
初日の25日には、「世界から見た日本企業の強み」をテーマとしたSession01「日本企業の強みを活かす経営 ~成長を支える企業文化と変革力~」と、「北米企業の成長」をテーマにしたSession02「CHANGE ~日本市場での成長、これまでとこれから~」の2つのセッションが配信された。それぞれのセッションのポイントをご紹介しよう。
企業文化をどう変えるか、変革をどう継続するか
「日本企業の強みを活かす経営 ~成長を支える企業文化と変革力~」のスピーカーは、カリフォルニア大学サンディエゴ校 グローバル政策・戦略大学院 教授のウリケ・シェーデ氏と、レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長 社長執行役員 最高経営責任者(CEO)の髙橋秀仁氏。セッションは、シェーデ氏・髙橋氏がそれぞれ自身の考えを語った後、それぞれの論点をもとにディスカッションを行う形で進行した。
シェーデ氏は、近年日本企業のブランドの存在感が低下しているように見えるが、依然として製品の内部では日本製の素材や部品が強い競争力を持っていることを指摘。「Made in Japan」から「Japan Inside」へ移行しているとし、中国企業などと規模で競争するのではなく、高度な技術によって代替しにくいポジションを取ることが重要だとした。
その先頭に立つべき企業を、シェーデ氏はJTC(Japanese Traditional Company)に対してJNC(Japanese New Company)と呼ぶ。そしてJNCにはProfit(利益)/Plan(戦略)/Paranoia(危機意識)/Parsimony(効率性)/PR(情報の透明性)/People(リーダーシップ)/Pride(幸福感)の「7つのP」があるとし、戦略の方向転換にあたっての最大の課題は会社のアイデンティティを変えることだと語って話を締めくくった。
髙橋氏は、自身のレゾナックでの事業変革の経験を中心に話した。髙橋氏は、売上規模の拡大を目指さず、売上高1兆円を維持しつつ収益性と企業価値を高めるという経営方針を説明。2021年からの5年間で18の事業を売却・独立させるという。そのうえでレゾナックが半導体・電子材料に強みを持つとし、とくに後工程の材料の強みを活かして顧客・パートナーとの「共創」を重視していると語った。
そして髙橋氏は、スペシャリティ化/半導体への集中といった戦略については他社も同じ結論にたどりつくが、差がつくのはその戦略を実行する人材と組織文化だとする。レゾナックは昭和電工と日立化成が統合されて生まれた会社だが、統合にあたって新会社としてのPurposeとValuesを設定し、それを浸透させるさまざまな取り組みを行った。経営体制についても、執行役員のスリム化・報酬の全社業績連動化なども行っている。このように、事業ポートフォリオ改革と人的資本・組織文化改革を一体で進めていることがポイントだという。
トークセッションでは、企業文化をどう変えるか、変革をどう継続するかが話題となった。企業の変革には大きなエネルギーが必要で、時間もかかる。これについてシェーデ氏は「重要なのは経営者がコミットし続けること」と語り、髙橋氏は「取締役に対し、私はいつ社長を退くことになってもかまわないけれど、この変革を続けてくれる人にしか引き継ぎたくありません、と言っています」と語った。最後にHRは会社の戦略を担う機能であるということを人事へのメッセージとして伝えてセッションを終えた。
セールスフォース/AWSのHR領域の企業文化
「CHANGE ~日本市場での成長、これまでとこれから~」には、一橋大学大学院経営管理研究科 客員教授の名和高司氏、セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 人事本部長の鈴木雅則氏、AWS Japan Manager of Field Enablement APJ Areasの西郷真理子氏が登壇した。
名和氏の分析では、成長企業は「ぶれない軸」と「変わり続ける力」の両方を備えているという。日本企業は前者については比較的得意だが、後者には弱い。北米企業から学ぶとすればここだというのが同氏の考え。LEAP(Lean×Leverage/Edge×Extension/Addictive×Adaptive/Purpose×Pivot)、MTPs(Massive Transformative Purposes)、創発型ネットワーク組織(DACO、Decentralized Autonomous but Connected Organization)、Innovation @Edges、クリエイティブ・ルーティン、4つのQ(IQ/EQ/PQ/JQ)、3つのS(System/Spiral/Spiritual)という概念や考え方を紹介しながら、日本の企業の強みを活かした新しい経営モデルを作れるのではないかと語った。
鈴木氏は同社が進めている組織変革について話した。信頼/カスタマーサクセス/イノベーション/平等/サステナビリティという5つのコアバリュー、創業時から続けているという「1-1-1モデル」、ハワイ語で拡大家族を意味する「Ohana」という考え方が、AI時代に対応していくための変革においても軸となっているとのことだった。
西郷氏のパートの主な話題はAWSの人事面の企業文化。同社では16のLeadership Principlesに基づいて採用活動を行っていること、採用において採用部門と直接利害関係を持たない面接官が参加して安易な採用を防ぐ「Bar Raiser」の仕組み、「2 Pizza Team」と呼ばれる10人前後の小さなチームを基本としていること、日常的に職場環境についてのサーベイを行う「Connections」、サービスを考える際に最初にPRFAQを書く「Working Backwards」の文化などが紹介された。
トークセッションでは鈴木氏・西郷氏が紹介するそれぞれの企業の文化について、名和氏がコメント・解説するような形で話が進んだ。「異質な人が入ってきてもチームワークを発揮できる力は日本の企業にもある。和を大切にするところに異質なものが入ってくることでもっと強くなる。日本企業は同質なもののインクルージョンにこだわりすぎている。そこは外資系の企業に学べるところ」と名和氏は最後にセッションをまとめていた。
今後のセッション予定:過去開催ではアーカイブ配信も実施
「HR-X 2026」は前述のとおり、9月3日までの開催。9月2日/3日には次のようなセッションが予定されている。各セッションの開始まで、カンファレンスのWebサイトから視聴申し込みが可能。8月25日/27日および9月1日に配信されたものも含め、一部のセッションを除いて、アーカイブ配信が行われる予定だ。
【Session07:AI Transformation(AX)】 AIで成果を出す戦略設計 ~事業変革のスピードを高める業務・組織・人材の再設計~ 9月2日(水)11時~12時20分 ソフトバンク株式会社 常務執行役員 兼 CHRO コーポレート統括 源田泰之氏 株式会社レクター 代表取締役 広木大地氏 株式会社リンクアンドモチベーション 常務執行役員 CTO 柴戸純也氏
【Session08:人の価値と役割】 AI時代、人は本当に必要なのか 9月2日(水)13時~14時20分 前 LINEヤフー株式会社 代表取締役会長 川邊健太郎氏 NEC(日本電気株式会社) Chief Learning Officer 兼 Chief Diversity Officer 堀川大介氏 日本経済新聞社 ライフ&キャリアビジネス統括補佐兼特命担当 上杉栄美氏
【Session09:エントリーマネジメント】 人材獲得競争の発想の転換 ~関係世界観で捉える、新卒の未来とは~ 9月3日(木)11時~12時20分 神戸大学大学院 経営学研究科 教授 服部泰宏氏 大和ハウス工業株式会社 本社経営戦略本部人事部長 上田あきは氏 川崎重工業株式会社 人事本部 リクルーティング部長 山脇昭彦氏
【Session10:労働市場ブランディング】 選ばれる企業の作り方 ~反響を生み、一貫性で伝える組織変革とHR戦略~ 9月3日(木)13時~14時20分 関西電力株式会社 執行役常務 調達本部長 CLO 人財・安全推進室担当 坂田道哉氏 株式会社みずほフィナンシャルグループ 執行役常務 グループCCuO 兼 グループCBO 秋田夏実氏 オープンワーク株式会社 代表取締役社長 大澤陽樹氏



