EU、排出量取引制度を抜本見直し 削減ペース緩め産業界に猶予
EU、排出量取引制度を抜本見直し 削減ペース緩和

欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は17日、地球温暖化対策の柱である排出量取引制度(ETS)の抜本的な見直しを正式に発表した。現行制度では2039年ごろに排出枠がゼロとなる見通しだったが、今回の見直しで削減ペースを段階的に緩和し、産業界が脱炭素化を完了する期限を延長する方針を示した。

削減ペースの緩和と制度の継続

現行のETSでは、2039年までに排出枠がゼロになるスケジュールが組まれており、鉄鋼や化学などのエネルギー多消費産業は厳しい対応を迫られていた。しかし、欧州委員会は2031年以降の削減ペースを段階的に引き下げ、2040年代に入っても制度を継続させることで、産業界に時間的な猶予を与える決定を下した。これにより、企業はより現実的なタイムラインで脱炭素投資を進めることが可能となる。

無償枠の条件厳格化

一方で、脱炭素化が困難な産業向けに割り当てられていた無償排出枠の付与方法は大幅に変更される。従来は無償で提供されていた枠のうち、80%は企業が脱炭素投資計画を提示した段階で、残りの20%は実際に投資が実行された段階でそれぞれ付与する仕組みに改められる。これにより、無償枠の取得には具体的な脱炭素行動が必須となり、投資の実効性が担保される。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

加盟国へのオークション収入活用要請

欧州委員会は加盟国に対し、排出枠のオークション収入の一部を脱炭素関連プロジェクトに充てるよう要請している。具体的な割合や対象事業については、各国の事情を考慮した柔軟な運用が認められる見通しだが、資金の使途に関する透明性の向上が求められる。

今回の見直しは、産業界の競争力維持と気候目標の達成を両立させるためのバランスを模索した結果とみられる。EUは2050年までに域内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げており、ETSはその中核的な政策手段として位置づけられている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ