中国製電気自動車(EV)の日本市場への浸透が急速に進んでいる。2024年の輸入EV登録台数において、中国ブランドは前年比で約2倍に拡大。日本自動車輸入組合のデータによれば、中国製EVの登録台数は2023年の約1万5000台から2024年には約3万台に増加した。この背景には、中国政府の強力なEV推進政策と、コスト競争力の高い車種の投入がある。
日本市場における中国EVの存在感
特に注目されるのは、比亜迪(BYD)の存在だ。BYDは2023年に日本市場に再参入し、2024年には「ATTO 3」や「ドルフィン」などのモデルを投入。価格帯は400万円前後と、日産「リーフ」やトヨタ「bZ4X」と比較しても競争力がある。日本自動車販売協会連合会の統計によると、BYDの2024年の日本での販売台数は前年比3倍の約1万2000台に達した。
さらに、上海汽車集団(SAIC)傘下のMGも日本市場で存在感を高めている。MGは2024年に「MG4」を発売し、その低価格と充実した装備が若年層を中心に支持を集めている。MG4の価格は350万円台からと、同クラスの国産EVより100万円以上安いケースもある。
日本メーカーの苦戦と戦略転換
日本メーカーは中国EVの攻勢に苦戦を強いられている。日産自動車は2024年、EV販売台数が前年比で15%減少。トヨタ自動車も「bZ4X」の販売が伸び悩み、2024年のEV販売台数は計画の6割にとどまった。日本自動車工業会の担当者は「中国メーカーのコスト競争力と商品投入スピードは脅威だ。日本メーカーは価格競争ではなく、品質やアフターサービスで差別化を図る必要がある」と指摘する。
一方、ホンダは2024年に中国市場向けに新型EV「e:Nシリーズ」を投入したが、日本市場への導入は2025年以降としている。マツダも2024年に初の量産EV「MX-30」の販売を開始したが、航続距離の短さが課題となっている。
充電インフラと政策の壁
中国EVの日本市場での普及には、充電インフラの整備が課題だ。経済産業省のデータによると、2024年時点で日本の急速充電器は約3万基と、中国の約100万基に比べて大幅に少ない。また、日本政府は2035年までに新車販売の100%を電動車にする目標を掲げているが、充電設備の補助金制度は中国ほど手厚くない。
さらに、日本市場には中国製EVに対する消費者の品質不安も存在する。日本自動車ユーザー連合会の調査では、中国製EVの購入を検討する消費者は全体の12%にとどまり、そのうちの半数が「バッテリーの寿命」や「安全性能」に懸念を示した。
今後の展望
中国製EVの日本市場シェアは2024年時点で約5%とまだ小さいが、成長率は著しい。日本総合研究所のアナリストは「2025年には中国製EVのシェアが10%を超える可能性がある。日本メーカーは協業やM&Aも視野に入れた戦略が必要だ」と予測する。実際、トヨタは2024年に中国のEVメーカー、広州汽車との提携を強化。日産も中国の東風汽車との合弁でEV生産を拡大している。
一方、中国メーカーは日本市場向けに右ハンドル車の開発を進めており、2025年にはさらに多くのモデルが投入される見込みだ。日本市場におけるEV競争は、今後ますます激化することが予想される。



