山梨県最低賃金1113円に引き上げへ 61円増、過去2番目の上げ幅
山梨県最低賃金1113円へ 61円増、過去2番目の上げ幅

山梨地方最低賃金審議会(会長・後藤光利弁護士)は28日、県内の最低賃金(時給)を現行の1052円から61円引き上げ、1113円とするよう、岩崎充山梨労働局長に答申した。引き上げ額は昨年の64円に続き、過去2番目の大きさとなった。一方、県は同日、急激な賃金上昇による中小企業などの負担増加に対応するため、賃上げを実施した企業への支援金制度を設ける方針を明らかにした。

審議会で可決、11月1日から適用予定

同日、甲府市内で開かれた審議会で、委員の賛成多数で答申案が可決。今後、異議申し立てがあれば審議会を9月15日に行い、内容の変更がなければ、11月1日から適用される予定だ。

最低賃金を巡っては、中央最低賃金審議会が、県民所得や1世帯あたり消費支出などの複数の経済指標から作成する総合指数をもとに、全都道府県をA~Cのランクに分け、引き上げ額の目安を提示している。

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上げ幅は目安より5円多い61円に

山梨はBランクで56円だったが、審議会では当初、労働者側が145円、使用者(経営者)側が34円を提示。協議を重ね、目安より5円多い61円増でまとまった。

最低賃金は、最低賃金法に従い、「生計費」「賃金動向」「賃金支払い能力」の3要素をもとに定められており、今回は急激な円安や中東情勢悪化により生計費が上昇したことなどが増額の幅を押し上げたという。

山梨県は、近隣5都県と比較して最低賃金が低く、若手労働者の流出が長年の課題となっている。5都県でも既に答申が終わっており、54円の引き上げだった東京とは、賃金格差が7円縮まるなど、今回は、いずれの都県とも格差が是正されることになる。

中小企業からは負担増の声

答申後、審議会の後藤会長は「労働者側も使用者側もある程度賃上げは必要だという共通の理解があった」と述べた。

ただ、大幅な賃上げに対し、県内の中小企業側からは悲鳴も聞こえてくる。審議会では、出席した使用者側の委員のうち2人が答申案に反対した。

この内の1人である、県経営者協会の早川幸夫専務理事は「2年連続で大幅な賃金の上昇は、中小企業の経営に大きな影響を及ぼす」としたうえで、「大きな企業を基準にするだけでなく、小さな企業の目線でも考えてもらいたい」と注文した。

県、賃上げ企業に支援金交付へ

こうした事情を踏まえ、県は28日、中小企業における賃上げを後押しするため、賃上げを実施した企業に勤める従業員らを対象とした緊急支援金を交付する方針を公表した。関連事業費を9月補正予算案に計上する方針としている。

県内に事業所を有するなど一定条件を満たした中小企業に勤務し、賃金引き上げ額が50円以上であることに加え、引き上げ後に1113円以上となる従業員(非正規雇用含む)らが支給対象となる。

支給額は、賃金引き上げ幅により異なるが、正規雇用者4万~7万円程度(1人あたり)、非正規雇用者2万~5万円程度(同)で、1事業者あたりの上限額は40万~100万円ほどとする見通し。引き上げに伴う賃金上昇額(6か月分)に対して5~7割程度の額を充当できるように制度設計しているという。

この日の答申を受けた記者会見で、長崎知事は、「審議会としてこれまでにない踏み込んだ判断であると受け止めている」と評価。ただ、「最低賃金の水準は、単身世帯が生計を営むに足る額になお届いていない」とも指摘し、「賃上げに挑戦する企業をこれからも力強く後押しする」と述べた。

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