日本の少子化問題の原因は、若者の「恋愛離れ」や価値観の変化だけでは説明できない。独身研究家でコラムニストの荒川和久氏は、経済的要因が結婚と出産を阻む最大の壁になっていると指摘する。総婚姻数は24.6%減少したが、そのほとんどが20代の婚姻減によるものだ。25~29歳の男女の初婚率はそれぞれ30%以上も減少しており、この傾向が出生数にも直結している。
出生数減少の真因は未婚化
荒川氏の分析によれば、出生数は婚姻数に完全に依存しており、婚姻の減少がそのまま出生の減少(31.6%)となって表れている。しかし、注目すべきは、1人以上子どもを産んだ母親の平均出生数(CPM)が2.06人から2.10人へとわずかに増加している点だ。それにもかかわらず、出生数や出生率が低下しているのは、15~49歳の無子率(未婚と既婚無子の合計)が47.1%も激増しているためである。つまり、出生数・出生率の低下は、子育て世帯が子どもを産まなくなったのではなく、そもそも未婚者が増えたことに起因する。
「結婚・出産インフレ」の実態
さらに重要なのは、初婚や出生の3割減と完全に負の相関を示すのが、結婚・出産できた世帯(児童のいる世帯)の世帯年収の増加率である。荒川氏は平均値ではなく中央値を用いて比較した。児童のいる世帯の世帯年収中央値は22.8%増加し、20~30代に限れば31.8%増加している。一見すると良い傾向に見えるが、児童のいる世帯数は20.5%減少している。これは、世帯年収の中央値が上がった理由が、経済的に高い層しか結婚・出産できなくなったことを示している。
その証拠に、単身世帯を含む総世帯(勤労世帯のみ)の世帯年収中央値は、この10年間で全く増減していない。言い換えれば、ある程度の経済上位層しか結婚も出産もできなくなった「結婚と出産のインフレ」が進行しているという。荒川氏はこの現象を、若者の意識の問題ではなく、構造的な経済格差が結婚市場を歪めている結果だと結論づけている。



