工作機械メーカー大手DMG森精機は、欧州連合(EU)が義務づける11時間より長い12時間の勤務間インターバル制度を2018年から導入している。森雅彦社長は、導入のきっかけとなった社員の自死を振り返り、「二度と繰り返さない」との決意を語った。
12時間のインターバル導入の背景
森社長は「10年ほど前に社員が1人、自死しました。会社は法的責任を認め、心から反省し、二度と繰り返さないとの思いで始めました」と説明。自身の経験から「私自身、午前8時半ごろから働くと、夕方には頭がぼーっとしてくる。詰めて働くと、10時間も働けるはずがありません」と述べた。
設定時間については「弊社は奈良の田舎などの工場も多く、社員の片道の通勤時間の中央値が約40分。それも加味して、12時間と設定しました」と語った。
導入から8年、効果と課題
導入から約8年が経過し、12時間を切る社員は子会社も含めた約4千人の日本人従業員のうち月に10人ほどまで減少した。一方で「営業や品質関係などの社員は急に発生する仕事もあるため、申し訳ないなと思います」と課題も口にする。
また、「自分1人で問題を解決しようとして時間がかかったり、能力のある人のところに仕事が固まったりする状況など、改善の余地はあります。AI(人工知能)を活用し、余裕のある人材配置をしないといけないのでしょう。インターバルを導入してもできるんだと実証するため、営業利益率10%以上を出したいと考えています」と述べた。
労働政策審議会での議論へ
勤務間インターバル制度は、1日の仕事を終えてから翌日の始業までに一定の休息時間を設けるもの。現在は努力義務にとどまるが、法的に義務化すべきかが注目の論点となっており、厚生労働省の労働政策審議会で今後、本格的に議論される見通しだ。
DMG森精機は年間の総労働時間も2千時間以内と定めており、与えられた労働時間の中でいかに生産性を保つかが課題となっている。



