順天堂大学医学部特任教授の小林弘幸氏は、日本で最も自律神経が整い元気に過ごせる地域として、沖縄でも北海道でもない意外な場所を挙げている。同氏の著書『科学的に証明された 自律神経を整える習慣』(アスコム)からの抜粋記事が、2026年5月にプレジデントオンラインで大きな反響を呼んだ。
夫婦仲を悪化させる2つの要素と自律神経の関係
小林氏は、夫婦仲が悪くなる状態には2つの解釈があると指摘する。一つはトラブルの原因や考え方の違いが明確な場合、もう一つは何となくイライラして「つい当たってしまう」「心にもない言葉をかけてしまう」場合だ。最近では、夫の言動にストレスを感じ体調に影響が出る「夫源病」、その逆の「妻源病」という言葉も話題になっている。
特に女性のイライラには月経前症候群(PMS)が影響していることが多く、月経開始の3~10日前からイライラや不安感、のぼせ、動悸、発汗など自律神経失調症に似た症状が現れる。これらは月経とともに減退・消失するため、多くの女性が「なぜあんなにイライラしていたのか」と感じるという。
皿洗いがイライラを抑える科学的根拠
小林氏は、イライラしたときの解決法として「とにかく沈黙する」「階段をひたすら上り下りする」「皿を洗う」といった単純な行動パターンを推奨する。特に家庭内では皿洗いが効果的だという。
フロリダ州立大学のアダム・ハンリー博士らの実験では、2つのグループに「皿洗いの手順だけを書いた指示書」と「気持ちを込めて皿洗いをするための指示書」をそれぞれ読ませたところ、後者のグループの方がイライラが抑えられた。小林氏は「皿を洗うことで自分の意識は落ち着く。こうして食器洗いをしている自分は素晴らしい、決して一時の感情に流されず自分らしくいよう、という考え方とセットで行うと効果的」と説明する。
男性は30代、女性は40代から自律神経が乱れやすい
小林氏によると、自律神経は男性は30代、女性は40代から乱れやすくなる。特に大都会に住む人ほど注意が必要だという。乱れが続くと肌荒れ、疲れ、イライラなどの不調を引き起こし、さらには「老け」の原因にもなる。
同氏は「自律神経の乱れは見た目の老化にも直結する。血流が悪くなり肌のターンオーバーが乱れるため、シミやしわが増えやすくなる」と警鐘を鳴らす。
日本一、自律神経が整っている意外な地域
小林氏が「日本でいちばん元気に過ごせる」と断言する地域は、沖縄でも北海道でもなく、実は「島根県」だという。同氏の研究では、島根県は自然環境や生活リズム、食習慣などが自律神経の安定に寄与しているとされる。一方、関東地方は疲労気味の人が多い傾向にあるという。
「島根県は海と山に囲まれ、四季の変化が穏やかで、生活リズムが自然に整いやすい。また、地域のコミュニティが強く、ストレスを共有しやすい環境も影響している」と小林氏は分析する。
簡単な習慣で自律神経を整える方法
小林氏は、皿洗い以外にも朝起きたらコップ一杯の水を飲むことや、適度な運動、規則正しい睡眠を推奨している。これらの習慣は自律神経を整え、体調不良を予防する効果が期待できるという。
「まずは1週間、朝起きたらコップ一杯の水を飲むだけでいい。それだけで自律神経は大きく変わる」と小林氏は断言する。



