賃上げが進んでいるにもかかわらず、30~40代を中心に「自分の将来の給与がどうなるのかわからない」という不安が広がっている。本連載では、給与水準そのものよりも「3年先の見通し」と「報酬の透明性」を軸にキャリアを考える視点を示す。特に生活に直結する「未来の手取り」を起点にすることで、働き方をより具体的に考えやすくする。
賃上げは進むが、中堅層に広がるモヤモヤ
近年、特に30~40代を中心に「賃上げで若手ばかり給料が上がる。でも、自分の給料はそれほど上がっていない」「給料は少し上がっているはずなのに、むしろ将来が不安になった」といった声が聞かれるようになった。賃上げは本来、働く意欲を高めるはずのものだが、賃上げが行われているにもかかわらず、どこか気持ちが晴れない人が増えている。
とりわけ昨今、新入社員の初任給が大きく引き上げられていることが、多くの中堅層の胸をざわつかせている。実際、賃上げそのものは着実に進んでいる。2022年以降、物価上昇や若手の採用難を背景に、ベースアップや初任給の大幅引き上げが相次ぐ。春闘でも高水準の回答が続き、「給料が上がる時代が来た」と感じる場面は増えている。
「未来が見えない」ことが不安の正体
しかし、自分はそこまで豊かになっていないと感じる人が少なくない。社会の動きとしては理解できても、どこか腑に落ちない。その違和感が、言葉にならないモヤモヤとして引っかかる。さらに、その奥にある「この先、自分はどうなるのか」という見通しへの不安感が、それに拍車をかけている。
大卒初任給29.5万円、35歳賃金31.7万円という会社が増える中、給与が上がらないこと自体がリスクと捉える視点も出てきている。本連載では、給与水準そのものよりも、「3年先の見通し」と「報酬の透明性」を軸にキャリアを考える視点を示す。
連載の構成と今後の配信予定
第1回では、多くの人が感じる給与のモヤモヤの正体が「未来が見えない」点にあることについて解説する。第2回以降は、納得できるキャリア選択のカギは将来の報酬見通しの「透明性」を見極められるかにある(8月25日)、給与だけでは測れない自社の「総合報酬(トータルリワード)」をABCDE枠組みで把握する(8月26日)、統合報告書・人的資本レポートなど開示情報は「将来の給与」を読み解くための宝の山(8月27日)、「もう辞めたい」の衝動に流される前にキャリアは3年先を起点に逆算して考える(8月28日)と続く。



