副業で「これは経費にならない」と思っていた支出が、実は経費になる可能性がある。ビジネススクールや財務戦略セミナーで講師を務める桜井潤一氏(株式会社ユニバーサルバンク代表取締役)が、意外と知られていない「副業の経費」を5つ解説した。前編では見落としがちな経費2つを紹介。後編では、より身近な支出について、経費にできる判断基準と注意点を詳しく解説する。
カフェ代は仕事目的なら経費になる可能性
仕事を目的として利用したカフェ代は、経費にできる可能性がある。例えば、お客様との打ち合わせや商談、企画書の作成、オンラインミーティングなど、業務上の必要性があれば経費として考えられるケースがある。一方で、友人とのランチや単に休憩するための利用など、仕事と関係のない飲食代は経費にはできない。同じカフェの利用でも、「何のために利用したのか」によって判断が変わる。
カフェ代を経費にする場合は、領収書やレシートを保管するだけでなく、「誰と」「何のために」利用したのかを記録しておくと、仕事のための支出だったことを説明しやすくなる。
生成AIやAdobe、Zoomなどのサブスク利用料
近年の副業では、生成AIやAdobe、Zoom、Canva、クラウドストレージなど、有料のデジタルサービスを仕事に活用するケースが増えている。ライターが生成AIを使って情報整理や文章作成を行う、動画編集者がAdobeのソフトを使って動画を制作する、オンライン講師やコンサルタントがZoomで顧客との打ち合わせを行うなど、仕事に必要なサービスであれば、その利用料は経費になる可能性がある。
こうしたサービスは、単に「便利だから使っている」というだけではなく、業務を行うために必要だったり、作業時間を短縮したり、仕事の質を高めたりする役割がある。特にオンラインで仕事をする副業では、デジタルツールそのものが仕事を支える基盤になっているケースも少なくない。ただし、プライベートでも利用しているサービスについては、全額を経費にできるとは限らず、仕事と私生活の両方で利用している場合は、実際の利用状況に応じて合理的に按分することが大切だとしている。
通信費・光熱費も按分で経費に
副業を自宅で行っている方が、意外と見落としやすいのが通信費や光熱費だ。インターネット回線やスマートフォンの通信料、電気代などは、仕事でも利用している場合、仕事で使用した割合に応じて経費にできる可能性がある。オンラインで顧客と打ち合わせをする、動画をアップロードする、生成AIやクラウドサービスを利用するなど、自宅で副業をするうえでインターネット環境が欠かせない場合、通信費は仕事を支えるための必要な支出と考えられる。また、パソコンを使って長時間仕事をするのであれば、そのために使用した電気も仕事に関連する支出の一つだ。ただし、通信費や光熱費は生活にも使うケースが多いため、すべてを経費にできるわけではない。
経費計上のポイントと副業を続けるために
経費として計上する際に重要なのは、「仕事に必要だった」と第三者に説明できることだ。特に、自宅の家賃や通信費、光熱費など、仕事とプライベートの両方で使う支出については、仕事で使用した部分だけを合理的な基準で按分する。また、領収書やレシートを保管するだけでなく、「何のために使ったのか」が分かるようにしておくことも大切。カフェ代なら打ち合わせ相手や目的、仕事用のサービスなら利用している業務などを記録しておけば、後から見返したときにも確認しやすくなる。
副業では、売上を増やすことに目が向きがちだが、利益を残すためには「どれだけ稼いだか」だけでなく、「どのようにお金を使ったか」を把握することも重要だ。経費について知ることは、単に税金を抑えるためだけではなく、自分の仕事に何が必要なのか、どこにお金をかけるべきなのかを見直すきっかけにもなる。身近な支出から「これは仕事のために必要なものだったのか」と考えてみてほしい。経費を正しく把握する習慣が、副業の利益を守り、事業を長く続けていくための土台になる。
桜井潤一氏は早稲田大学卒業後、大手銀行に24年間勤務。富裕層向けの資産運用や数十億円規模の法人融資など、1,000社以上の審査・支援に携わった。2020年に株式会社ユニバーサルバンクを設立し、財務・ビジネス・資産形成を融合した「Real Wealth(R)プログラム」を開発。ビジネススクールを運営するほか、資産形成やマネーリテラシーに関するセミナー講師としても活動している。



