全国有数の家具産地として知られる福岡県大川市。10年後の2036年には、大川家具が誕生して500年の節目を迎える。機運醸成に向けて取り組みが進む中、市内の家具メーカーなどでつくる協同組合福岡・大川家具工業会の丸田真大理事長(62)が、大川家具の歴史や今後の展望を語った。
大川家具の起源は室町時代
大川家具の誕生について、丸田理事長は「室町時代の1536年、12代将軍・足利義晴の家臣の弟だった榎津久米之介が、大川に願蓮寺を創建したことに始まると伝えられている」と説明。当時の大川には船大工が住んでおり、久米之介がその技術力を生かして家臣に家具製作の技術を習得させたことが起源とされる。
福岡・大川家具工業会は、1963年に前身組織が設立され、2016年に福岡県家具工業組合と合併して現在の名称になった。県内の家具メーカーを中心に112社で構成している。
ピーク時の約1250億円から現在は約400億円に
大川はタンスや食器棚など「箱物」と呼ばれる収納家具の産地で、製造出荷額のピークは1990年の約1250億円だった。住宅事情の変化に伴い、タンス一式といった婚礼セットの需要が低迷し、現在は約400億円に落ち込んでいる。
このため、マンションに合うようなキャビネットやチェストなどを作ったり、企画・設計を大川で行い、海外に製造拠点を設けたりするなど、各事業者は工夫しながら事業を展開。工業会としては、2009年から「春の大川木工まつり」を開催し、2万人近くを集客している。
まち全体が一つの大きな工場
家具産地としての大川の強みについて、丸田理事長は「製材や合板、塗装など家具づくりに必要な関連業者が、市内やその周辺に集積していることだ」と指摘。企画・設計から加工まで一貫生産する事業者がいる一方で、各工程に特化した専門業者がいるため、「まち自体が『一つの大きな工場』といえる」と語る。高度な分業システムにより、出荷までのスピードが速く、コスト面でも優れているという。
丸田理事長自身は、婚礼家具メーカーとして創業した丸田木工で、今も主に「箱物収納家具」の一貫生産を続ける。特にこだわっているのは、桐材を使用した日本の伝統的な引き出しの精度や丈夫さ。日々何度も出し入れするため、ストレスのない使い心地が大切だとし、「デザインになる表面材は消費者ニーズに応じて変更しているが、引き出しの部分については妥協しない品質を常に心がけている」と話す。



